第13話 パクリ疑惑のロシアン美少女

「おはよう〜

 みんな朝早いな」

幸村がいつものみんなに眠そうに言う。


「おはようございます!

 なんだかゆきむらくん眠たそうですね?」

玲奈が心配そうに言う。


「どうせ、このキモオタのことだから

 アニメとか見てたんでしょ?

 それとも私のこと考えてたり…//////」

朱里が照れながら言う。


「朱里、お前は可愛いと思うがお前を考える余裕はない」

幸村が冷静言った。


(あのゆきむらが)

(あのゆきくんが)

(あのゆきむらっちが)

(女の子に対して可愛いと言った?!)

玲奈、桃華、美咲が心の中でハモる。


「ゆきむら、あの夜のことは秘密だからね?」

顔を真っ赤にして朱里は言った。


「おい、その言い方まずいって」

幸村が焦ったように言うと、


「ゆきくんは何もしてないって言ってたけど

 やっぱりいやらしいこといっぱいしてたんだ。へえー」

桃華が残酷な感じで言う。


「朱里ちゃん!駆け落ちはダメって言ったよね!」

玲奈が怒って言う。


「ゆきむらっち…

 入学したばかりなのに、もう卒業?!」

美咲は心配はしていなかったようだ。


「こいつとは何もしてない。わかったか?」

幸村が誤解を解こうとすると先生が入ってきた。


「お前らー

 先につけ!転校生を紹介するぞー!」

先生がクラス全体に呼びかけると、

教室の前の扉が開いた。


(このスピードで転校ってなに?!

 入学して1ヶ月も経ってないぞ…もしや、ヤンキー?)

幸村は心の中で嫌な想像までしている。


幸村は、入ってくる転校生を見ると、

(あれって前、AEYONエーヨンで肩ぶつけた人?!)

一瞬誰か分かったようだ。


そう、そこにいたのは銀髪ロシアン美少女だったのだ。


「アナスターシャ・ヴァシーリエフ・白鳥です

 ロシアと日本のハーフです

 父の仕事の影響で引っ越してきました

 元々日本に住んでいたので、日本語は分かります」

(名前かっこいいし、長!

 あと、これパクってないよね?大丈夫?怒られない?)

アナスターシャの自己紹介の後、

幸村はメタ思考をしていた。


「じゃあ、席はあそこの空いてる席だ」

先生が指を刺す。


「分かりました」

アナスターシャが普通に返す。


(ちょい待て、俺の斜め後ろやないかい)

幸村は心の中でツッコんだ。


(ええ、私の後ろにこんな綺麗な子…

 ゆきむらくんが取られちゃいます…)

玲奈は心の中でわけのわからない気持ちになっていた。


アナスターシャが席に着いた時、

幸村は思い切って話しかけてみることにした。


「アナスターシャさん、覚えてる?

 先週の土曜日にAEYONで肩ぶつけたの」

幸村は緊張しながら言った。


「申し訳ないですが、覚えておりません」

アナスターシャは冷徹な目をして返す。


(どうせ、男、しょうもない生物だわ)

アナスターシャはそう思っていた。


「ゆきむらっち、肩ぶつけるとか言う

 キモい妄想やめといた方がいいよ…」

美咲が引いたように言う。


「ガチだって!絶対ぶつけた!俺の妹に聞けば分かる」

幸村は小声なのに小声じゃないみたいに言った。


「て言うか、ゆきくん何もしてないのに嫌われてない?」

桃華が言う。


「確かに…」

美咲が桃華の意見に賛同する。


緊張中の玲奈が思い切って話しかけてみる。

「アナスターシャさん?

 私の名前は夢咲玲奈…よろしくね」

玲奈は小声で語りかけるように言った。


「たかが、3年間の付き合いで誰かと関わる理由が

 ありませんわ。夢咲さん。」

アナスターシャは辛辣だ。


「ゆきむらくん…(涙)」

と言いながら玲奈は幸村に抱きついた。


1時間目が終わり、

「ゆきむらが会いたそうだったから来てやったわよ」

朱里が来た。


「お前は違うクラスなんだから、早く帰れ」

幸村も辛辣だ。


「あかりちゃん?!」

アナスターシャが喋った。


「そ、そうだけど」

「私、あかりちゃんの大ファンなんです!

 よかったらサインとか頂けますでしょうか?!」

アナスターシャは朱里の大ファンなようだ。


「ゆきむらっち関連で忘れてたけど、

 そういっとけば朱里ちゃんは人気モデルだったね…」

美咲がそう言った。


「あんなに人に心閉ざしてたのに

 朱里ちゃんに対してはとても開いているね…」

桃華が言った。


「ゆきむらくん、私モデルになれると思いますか?」

玲奈は真剣な眼差しをして言った。


「やめとけ、お前は誰かと

 共有するんじゃなくて俺だけにしておきたい」

幸村も真剣な眼差しをして言った。


「バカッ…」

玲奈は顔を真っ赤にして違う方を向いてしまった。



(女子ってからかうのおもろいな)

クズすぎる幸村だった。

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