第11話 こんなんにするなんて…

「やっぱりお姉ちゃんって最高〜!」

妹の優菊が言った。


「おい、こんなやつのどこがいいのか?」

「ひどいよ?ゆきむら?」

幸村が言った言葉に対して悲しそうに朱里は返した。


「やっぱ可愛いし、

 誰かと違って服のセンスもいいし!」

「誰かとはってなんだよ」

「なんのことかな?(笑)」

幸村に対してはぐらかすように優菊は言った。


「そうだ!今日私の家泊まって行かない?」

「いいの?!行く行く!!」

朱里は優菊に対して即答した。


「いいのか?朱里

 超人気モデルが男の家で寝泊まりって…」

(俺ファンから刺されないよな…?)

幸村は朱里より自分のことを心配してたようだ。


「まあ、なんとかなるっしょ!」

朱里は元気よく答えた。


「ただいま〜」

「おかえり〜」

優菊に母が返した。


「お邪魔します〜」

「あ、朱里ちゃん?!また来てくれたの?!」

母が朱里が来たことに驚く。


「ゆきむらくんの彼氏なんで当然ですよ!」

「彼氏じゃねえって」

幸村はめんどくさそうに言った。


「付き合う前に突き合っちゃダメだよ?

 好きな人とするもんだからね?

 あと、する時はしっかりつけるのよ??」

母が真剣に言った。


「付き合いもしねーし、突き合いもしねーよ」

幸村はそう言った。


「じゃあ、ツキアウ?」

明里は幸村に耳打ちした。


(おい、これはどっちのツキアウなんだ?!)

幸村はそう言うことを想像した。


明里は起きている最中、

ずっと優菊と絡んでいたので、

幸村へのだる絡みはなかった。


「なんか今日色々あって疲れたな…」

幸村がボソッといい眠る。


「う…なんか体が重い…」

幸村が目覚めた。

そうして、目を開けると、


「朱里?!何してんの?」

朱里は幸村の上に馬乗りしていた。

幸村は全ての状況、未来を理解する。

ちなみに、朱里は胸元がかなりオープンされている。


「やっぱり恋は攻めてこそよね!」

「ちょっと何言ってるかわからないんだけど、

 ツンデレキャラのセリフパクリやめてね

 あんた結局設定上ツンデレなのに全くしないし」

幸村は空気を読めないメタ発言をする。


「で?こっからどうすんの?」

幸村は冷静にそう言う。


「あ、」

朱里は何も考えていなかったのか顔が赤くなる。


「ゆきむらがそこまで言うなら///」

「おいおい、お前に対して求めてないぞ

 早よ出てけ、窓から追い出すぞ」

ボタンを開けながら言う朱里に対して

秩序を守れる人間。それこそ、幸村だ。


朱里は顔を真っ赤にしながら部屋の外に行った。


「ふぅ、あとちょっとで

 バーニングモードになるとこだった…」

幸村は焦るように言った。


「ゆきむらー!!朝だよー!!起きろー!!」

朱里が幸村の部屋に入って叫ぶ。


「なんで起こしにくるんだよ…日曜だぞ…」

ゆきむらは不機嫌そうに言った。


「だって、起こすのって妻ぽくない?」

「ぽくない。

 早く出ていけ。あと、下履いてないぞ」

幸村がそう言った。


「え?」

朱里は確認すると、


「ゆきむらのエッチ!!!

 さいてー!!私をこんなにするなんて!!」

「いや、お前が脱いでたんだろ

 そ、その俺もいちよ男だし、早く出てくれ」

幸村も赤面だ。


「もしかして、興奮してる?」

「だ、だまれー!!!」

幸村は追い返すことに成功した。


「じゃあお世話になりましたー!」

朱里がそう言った。


「また来てね!!お姉ちゃん!!」

優菊はとても嬉しそうだった。


「また来るね!彼氏くん、私を駅まで送ってね!」

「誰が彼氏だよ」

幸村はめんどくさそうに返す。


「女の子1人は危ないぞー」

母がそういう。そして渋々送っていくことにした。


そして玄関の扉を開けるとそこには桃華が居た。

桃華の手には何か持っていた。その物を落として

「さいてー」

といい、走ってしまった。


「桃華違うって!」

幸村が道を見た頃には姿はなかった。


「もしかして私悪いことしました…?」

朱里が申し訳なさそうに言う。


「お前は悪くない、

 俺があいつの気持ちを思ってなかったのが悪い」

「ププッ」

朱里が笑った。


「ゆきむら、

 私みたいな可愛い子が居るからって調子乗りすぎ」

朱里は笑いながらそう言った。


桃華が持ってきた紙袋の中を見ると、

京都のお土産らし物があった。


それを見た途端、紙袋を持って幸村は走り出した。


「ゆ、ゆきむら?!」

「わりぃ、1人で帰ってくれ!

 対価は今度払わしてもらうから!」

そう言い、幸村はギアをもう一段階上げた。


(めんどくせえ、よりによってあいつが

 家から出てくるところが見られるなんて…)

そう思いながら公園の前に着くと、

ベンチには桃華の姿があった。


幸村は近づき、

「桃華、ごめん。ブタ野郎で」

一言そう言った。


「ゆきくんは何に謝ってるの?」

いつもよりちょっと寂しそうな気がした。

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