「もしかして、あなたも乗っていたんですか?」

「そうね。私もあなたと同じであの船に乗っていたわ。あなたと違うのは、ある意味、私は私自身の意思でここにいるということね」

「…?それは、どういうことですか?」

「私はあの船で事故が起きたとき、一人でボートに乗って逃げたの。付き添いの人が一緒について来てくれるはずだったけど、間に合わなかった…。そして、漂流しているうち、この島を見つけて上陸したということよ」

 つまり、彼女は海に投げ出された結果、選択肢がない状況での選択だったというわけか。船の上で苦しみを味わっている分、俺よりたちが悪いのかも知れない…。

「でも、私はここに来るべくして、来たんじゃないかと、思うの」

「来るべくして来た?それは、なぜ?」

「あの船は、最初からこの島を目指していたのよ。それなら、私がボートで脱出した場合、最初に辿り着く島が、この島なのは必然とも言えるわ」

「え…?」

 彼女の発言は、到底信じられるものではなかった。しかし、それが事実なら、この事故は根底から崩れることになる。

「信じられないんですけど…、あの船がこの島を目指していたと考える理由が、なにかあるんですか?」

「それは、操舵室で電子モニターに映されていた航路図を見たからよ。でも、ごめんなさい。これは、見ただけだから、その後で変更していたり、その航路図が実際のものじゃない場合を考えたら確証にはならないわね」

「ソウダシツというのは?」

「船の操縦室みたいなものよ」

「なぜ、操舵室に入れたんですか?一般人に公開しているという話は、聞いていませんでしたけど…」

「それは、私がサイドプラント・イノベーションズの社長の娘だからよ」

「なるほど。…って、えっ!?」

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