第3話

 翌日になり早速、先生たちがきた。音楽……主に声楽と魔術の基礎から応用まで時間を決めて教えてくれるらしい。

 これらを五日間でマスターしないといけないのだ。ハッキリ言って死ぬレベルだと思われる。


 まずは声楽からだ。声の発声練習をするみたい。


「あーああーああ〜あー…… ――……」

「そうねえ……音程は悪くないのですが、もっとお腹の底から声を出せれば良くなると思うけど。んーじゃあ、これからは発声練習の前に腹筋をしましょうか」


 腹筋……この先生、本気で言ってるの? なんで腹筋を鍛える必要があるのよ。


【※作者の豆知識:腹筋を鍛えることにより、お腹の底から声を出せるようになる。まあ私が昔より声量なくなったのは、これのせいだろう。それと肺活量と喉(汗)】


 先生の言っていることがよく分からないまま、とりあえず腹筋を五十回やった。流石に疲れて休憩させてもらう。


 じぬ~なんで、いきなり五十回? これって絶対いじめだよ~。


 その後、再び発声練習を始める。


 ☆❈☆❈☆


 次は魔法……魔術の勉強だ。まずは基礎からだから簡単だし問題ないよね。

 そう思ってやってたけど、まさか基礎でもこんなに大変だとは思わなかった。


「魔法陣を作成してみましょうか。どんな模様でも構いませんよ。ただ、そこにどんな言葉を書き込むかで変わりますが」


 ワタシは楽しそうだと思い指で空中に自分流に魔法陣を書いてみる。


 ――ボムッ!!――


 鈍い音が辺りに響き渡った。するとワタシの目の前に魔法陣と共に角の生えた猫が現れる。


「わあ~可愛い! 猫ですわ」


 目の前に居る猫を触ろうと手を伸ばした。


「待って! それはベヒーモスの子供です」

「えっ!?」


 それを聞き慌てて手を引っ込める。

 目の前の猫……ベヒーモスの子供は、キョトンとしワタシをみていた。


「まさか召喚の魔法陣を創ってしまうとは……将来が楽しみだ」

「……」


 いや、魔法使いになるつもりはない。


 そう思っているとベヒーモスの子供が私の足元に来て、スリスリし始めた。


 やっぱりどうみても子猫にしかみえないよね。

 それに危険というかワタシに懐いてるようにみえるけど。


「これは珍しい……子供とはいえ狂暴な魔獣ですよ。んーもしかしたら魔法陣の模様がなんらかの作用を施したのかもしれません」


 この先生……大丈夫なの? 多分ワタシが召喚したからだと思うけど。でも、なんでベヒーモスの子供を召喚したのかな?

 ワタシは只ペットを召喚したかっただけなんだけど……まあ、この場合って言わない方がいいよね(汗)。


「基礎は大丈夫そうですね。では応用に進みましょうか」


 その後ワタシは魔術の応用を沢山……嫌と云うほど学んだ。


 ☆❈☆❈☆


 そんなこんなでワタシは、なんとか一日のメニューを熟し現在お風呂に入っている。


「あー疲れた。これを全て熟さないといけないのよね。それも試験の前日までに……」


 疲れているせいか今にも眠りそうだ。


「そろそろ出よう……」


 お風呂から上がり服を着たあと自分の部屋に向かった。


 ☆❈☆❈☆


 部屋に戻るとワタシは机に向かい今日ならったことを復習する。


 あー試験の日が待ち遠しい。でも不安がない訳じゃないのよね。


 そう思い机上の一点をみつめた。

 眼前にはベヒーモスの子供がいる。

 あれから帰し方が分からず、このままになった。

 でも、ワタシは消したくない。だってワタシにこんなに懐いているし……凄く可愛んだもん。

 あーそうそう……名前は、ベモにした。只、略しただけなんだけどね。

 でもベモは気に入っているみたい。


 その後、残りの四日間をワタシは必死で乗り切った。



 ……――それから日にちが経ち……試験当日の朝を迎える。


 ワタシは仕度を終え荷物を持ちカナセリアとベモと屋敷を出て試験会場となる城へと向かった。

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