第2話
部屋に戻って来たワタシは机に向かい受付に持って行く書類に記載し始めた。
書類と言っても名前、年齢、学歴、職歴、歌い手歴などを記載するだけだ。他にも書くことはあるけど、だいたいこんな感じかな。
「書き終えた〜!! あとは親のサインをもらえばいいだけ」
信じられない。お母さまに反対されると思っていた。それだけに凄く嬉しいんだよね。ああ……早く試験当日にならないかなぁ。
そう思いながらワタシは立ち上がり本棚へと向かう。
その後、本棚から魔術の本を取り読み始める。
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翌日になりワタシはお母さまから、お父さまの返事を聞かせてもらった。
返事は『問題ない。頑張りなさい』と言ってもらい、ワタシは嬉しすぎて涙が溢れでる。
そのあとお母さまは城に持って行く書類にサインをしてくれた。
「ミュルン、決して慌てるんじゃありませんよ。忘れ物などないように気を付けて行って来なさい」
「はい、分かりましたわ。お母さま、ありがとうございます」
その書類を持って自分の部屋に向かう。
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「今日は何を着て行きましょう?」
部屋に入るなりワタシは何を着ようかと思いながらクローゼットの中をみる。
「ミュルン様、私がお選び致します」
ワタシの後ろをついて来たメイドのカナセリア・メルゼだ。私つきのメイドである。
「ビックリした! いきなり話しかけないでって何時も言ってるわよね」
「申し訳ありません。ですが偶には私に仕事を言いつけてくださいませ」
「気持ちはわかるわ。だけど自分でできることはしたいの。だからカナセリアは、ワタシの話し相手をしてくれるだけでいいのよ」
眉をハの字にしカナセリアは、モジモジしている。
「分かったわ! じゃあ選んでもらうかなぁ」
私がそう言うとカナセリアは喜び選び始めた。選び終えるとワタシの着せ替えを始める。
ハッキリ言って嫌だ。楽だけど……なんか子供扱いされているみたいだしね。
着替えが終わり荷物を持とうとした。
だけどカナセリアは、サッとワタシの荷物を奪いとる。
「あ、ありがとう……」
「いえ、問題ありません。それと今日は私もお供させていただきます。これは奥さまからの言い付けですので」
本当は一人で行きたかったけど、お母さまの言い付けじゃ仕方ないか。
その後ワタシは、カナセリアと屋敷を出て城に向かった。
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ここは城……サイクレット城の門前付近に設置されているテントだ。
「結構きてるわね」
「本当に凄いです。私は城にくるのが初めてですので」
カナセリアは目を輝かせて感激してる。
こんなに喜んでくれたのなら連れて来て良かったのかもね。
「あの行列に並べばいいのよね」
そう言いワタシは最後尾に並んだ。
「カナセリア、何処かで待ってて」
「承知いたしました。では門の近くの大きな木の所で待っております」
そう言いカナセリアはワタシに会釈すると門の方へ歩いて行った。
その後ワタシは順番を待ちながら色々と考える。
大丈夫……うん、受付ぐらいで失敗なんてしない。
順番が来るとワタシは受付の人に書類などを渡した。
受付の人はワタシの書類を確認する。
「……――問題はありませんね。では書類をお渡しいたします」
そのあと色々と記載されている書類を受付の人からもらった。
終わったぁ〜……あとは一週間後の試験の日を待つだけだ。
その後ワタシは大きな木の所で待っているカナセリアの所へ向かった。
「お待たせ!」
そう言いワタシは、カナセリアのそばへ歩み寄る。
「帰りも荷物を持ちます」
ニコリと笑いカナセリアはワタシの荷物を、奪い……いえ、持ってくれる。
「何か食べて行こう〜」
「はい、それは良い考えです」
そして、その後ワタシとカナセリアは城下町で食事をしてから屋敷に戻った。
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