第8話 ラブコメにラッキースケベは付き物です

「ごめん、ちょっと用事が長引いた」


 状況から見て、俺のことを好いていそうなのは野々花に違いない。探りを入れたいところだが、パッと見たところ野々花はいない。


「ごめん安志くん、野々花シャワー浴びたいって言って勝手にお風呂場使っちゃった」

「ああ、全然いいよ」

(…まてよ?じゃあ今佐川さんは僕の家の中で、裸になっているってことでは⁉)

「よ、よかったらみんな今日の汗流していく?お風呂もお湯入れていいよ」

「えっいいの⁉」

「うん、水道代とかうちは気にしなくていいようになっているから」


 ふと目をやると、リビングに野々花のカバンが置きっぱなしになっているのに気が付く。

「佐川さん、タオルとかちゃんと持って行ったかな?」

「あっ、もしかしたら持って行ってないかも!」


 こごみが野々花のカバンを漁りだす。


「大丈夫だよ、使ってないタオルも廊下にしまってあるし」


 俺は廊下の棚から新品のバスタオルを一枚手に取り、風呂場へ向かう。

 そして扉の前にバスタオルを置こうとした、その時だった。


「みーみ~、悪いけどタオル持ってきて……」

「あっ……」


 なんと突然扉が開き、中から素っ裸の野々花が上半身現れたのだ。


「あっ⁉安志くんなんで⁉」

「ご、ごめんごめんごめん!」


 すぐに振り返って戻ろうとしたその時


「野々花、タオル忘れてるよ~」


 とこごみがやって来ている!このままでは野々花の素っ裸を見たのがバレる!


「安志くんこっち!」


 野々花は突然俺の袖を引っ張り、脱衣所の中に連れ込んで鍵をかけた。


「タオル忘れてたよ」

「う、うん。そこ置いといて」

(やばい、絶対佐川さんの方は見たらダメだ……!)


 必死に目を背ける俺。だがさっき不意に目に入った野々花の素肌、そして薄ピンクの綺麗な乳首が鮮明に思い起こされる。


(やめろ!こんなところで勃ってるのがバレたらもう終わりだ!)

「安志くんがね、お風呂お湯入れてもいいって」

「ああそうなんだ、じゃあ入れとくね」


 そう言ってようやくこごみはリビングに戻っていってくれた。


「…見てないよね?」

「み、見てない、見てないです!」

(嘘、本当は見てたくせに)


 下手に野々花の方を意識してしまうせいで、野々花の心の声まで聞こえてきてしまう。

(…まあ、そんなに嫌じゃなかったけど……)

「えっ⁉」

「あちょっと、見ないでって!」

「ああごめんなさい!」


 俺は何とか脱衣所を脱出し、リビングまで戻って来た。


「永利、どこにいってたんだよ」

「いやまあちょっと、ね…」


 佐川さんは完全に俺に気がある。さっきのでそう確信した。

 が、だからといって奥手な俺にはどうすることもできない。


(まあ、まだキャンプが終わっただけだしな。もっと仲良くなるチャンスはいっぱいあるはずだ)


「お先、お風呂いただきました~」


 何事もなかったかのように出てくる野々花。


「じゃあ次、私入っていいですか?」

「どうぞどうぞ~」


 その後しばらくして、こごみもタオルを持って行っていないことに気付いた。


——オリエンテーションキャンプ編 完——

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突然エイリアンの養子として売りに出された俺。家庭入り祝いの脳手術でエイリアンの超能力をゲット⁉ 秋一番 @Aki1ban

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