第10話 完成・拍手


家に帰ると、早速魔石を加工することにした。先生からもらった写真を見ながら、慎重に作業を始める。


ダンジョンから掘り出した魔石はほとんど探索者ギルドで売っていたが、趣味で加工するために大きく品質のいいと思った残しておいた。


その、魔石を使う事にした。


「やっぱり、これがいいよね〜」


僕は手元にある魔石の中で一番大きなものを選んだ。


今回加工しようとしているのは、勾玉に丸を彫り、その中に星のマークを刻んだデザインだ。まずは魔石を砕き、削り、勾玉の形に整えた。


これまでに星形やダイヤモンド形など、さまざまな形の魔石を作った経験があるから、勾玉の形に仕上げるのはそれほど難しくはなかった。


「ふう〜」


綺麗な勾玉を作り上げ、一息ついた。次は、中央に丸を彫り込む作業に取り掛かった。グルっと一周掘りその丸の中に星を掘り完成した。


 先生から貰った写真と見比べても、ほぼ同じ感じに完成した。


「よ〜し」


 とりあえず、勾玉を身体に身に付けたが何も起こらない。


「あれ、どこか間違ったかな?」


 もう一度、写真と見比べたが同じである。何が違うんだろうと、眺めているといつの間にか尻尾が生えていた。


「お?」


 尻尾が生えてから、もうしばらく待っていると完全に犬に変身した。


 ダンジョンでは、入った瞬間に犬に変身するのではなく、徐々に犬の姿へと変わっていくようだ。


 多分、ダンジョンで変身してこの勾玉を持ってダンジョンを出ると犬の姿を維持したままダンジョンを出て家の中に帰る事が出来るはず。


「よ〜し、完成」


 僕は、勾玉を身体から離すとすぐに元の姿に戻った。変身には時間がかかるが、戻るのは早いらしい。


 早速、明日徒歩で行けるボスが倒されて居ないダンジョンに行ってみようかなっと思う。

 

********



「柴犬さんの配信が始まる〜」


 美緒が、スマホを見ながらそう呟いた。美緒は、配信など忙しく唯一の癒しが『犬』の配信される動画。


 ソファーに座り、机にはお茶とポテトチップスを用意して犬さんの動画を見る準備満タンに整えていた。


「え、相変わらず可愛いんですけど?ふざけてるんですか、もう可愛さを超越した存在だと私は思うですけど?」


 ソファーに寝転びながら、可愛さを堪能していた。


「え、え、凄い。文字書けるの?天才なんじゃないですか?そのサイン欲しいんですけど?」


柴犬さんが、書いた文字を見てつい拍手してしまった。どこかで、このサインをプレゼントしないかな〜と思った。


「あれ?え、一生懸命にピアノを持ってきたの!!可愛すぎ!!」


 柴犬さんが、画面外に行き少ししてピアノの足を咥えながら持ってきた。


「え、ピアノ弾くんですか?」


柴犬さんがピアノを弾きながらリズムに乗ってつい鼻歌を歌っていた。


「猫踏んじゃった上手過ぎるんですけど?無意識に鼻歌は可愛すぎるです」


美緒は、再び拍手して感動した。


 美緒は、柴犬さんがピアノを弾いている部分を切り抜きいつでも再生し聴く事が出来るようにした。



 

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