第11話 ダンジョン内を徘徊する犬は注文される
勾玉の効力を試すため、家の近くにあるダンジョンへ向かった。ボスが倒されていないダンジョンは、倒されたダンジョンに比べて魔物の出現率が高く、危険度も増す。
だから僕は、少し緊張しながらダンジョンの中に入った。犬の姿に変身すると、いつも通りリュックに服を押し込んで、ダンジョンの奥へ進むことにした。
「ボスが居ないダンジョンと風景は同じなんだな~」
そう独り言をつぶやきながら辺りをキョロキョロ見回し、2階層を目指した。
道中、探索者たちとすれ違うたびに『え、どうしてダンジョンに犬がいるの?』とか、『迷い込んだのかな』『ダンジョンで犬を見たのは初めてだ』『ま、魔物?』と、驚いたり物珍しそうに見られたり写真を撮られたりされた。
帰り道の探索者だろう、一人の女性探索者がが僕を見て『なんで柴犬さんが?」と不思議そうに呟き、目線を合わせるためしゃがみ込んだ。
探索者の女性はしばらく僕の顔をじっと見つめて毛が多くある首下あたりを撫でてきた。
「もふもふ....」
僕の毛並みを気に入ったのか、無心で頭を撫でてきた。
「....」
ようやく頭を撫でることに満足したと思ったら次は、顔をムギュっとした。
「可愛い....」
満足したのか、僕の体から手を離してくれた。撫で回されたせいで、毛並みはすっかりボサボサだ。
ボサボサになった身体はむず痒くて、思いっきりブルブルッと体を振るった。すると、体がスッキリした気がした。
「ダンジョンは、特殊な何かがあるから中に入らないって聞いた事があったけど、この子は特殊なのかな....ダンジョンは危ないところだよ」
僕のお腹のあたりに手を回してきた。
持ち上げられてダンジョンの外に連れて行かれるかと思った僕は、持ち上げられないように右前脚をあげ口を開いた。
「僕は別に迷い込んだ犬ではないですので、大丈夫ですよ」
突然僕が喋ったことにより探索者は驚いた表情のままフリーズしてしまった。
まあ、犬が喋れば驚くよな。と思いながら、僕は軽く頭を下げてお辞儀し、走って奥へと進むことにした。
「ふう〜危うく入口に引き戻されるとこだった」
探索者の女性からだいぶ離れたので、テクテクと歩いてダンジョン内を探索しているとゴブリンに遭遇した。
「グギャ!?」
「ゴブリン!?」
以前、一度だけ戦ったことがある敵だったので、それほど怖くはなかった。僕はゴブリンの喉元に噛みつき、『グギャァアアア!!』とゴブリンは悲鳴をあげ倒すことが出来た。
「やっぱり、ドロップする確率は低いんだな〜」
2階層に向けて、順調に進んでいた。ゴブリンを5体ほど倒したが、魔石は1つもドロップせず運が悪いんじゃないのかと思いながら、2階層に到着した。
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