第4話 予想外の反応
スノーラと会ってから4年の時が経った。僕は流石に現実に目を向けないといけないと思う。今年で4人目、凍死した村人から拾った作物が氷狼に加えられて届けられた。
「ん、氷狼が見つけた」
スノーラは
ここでの暮らしは平和でスノーラとも話せるようになってきた。彼女の方からも時々話しかけてくれる――大半は僕から話しているけど。
僕の中でスノーラは大切な人になりつつある。火が怖いこと。戦争で敵を殺していて、帰ると人間に追い出されたこと。
僕は途中から分かってきた。スノーラはちょうど約30年前に戦争から逃げてきた魔人だって。そんなことはどうでも良い。スノーラはそんな語られる魔人たちのように残虐な存在でないことを知っている。
「村に帰ることにするよ」
「ん!どうして?」
「生贄が意味がないってことを伝えなくちゃ。だってほら、僕たちがお供物を食べているのに村は雪が降らないし、作物も取れているだろう」
「――ん、それは……」
今も僕がここを出ることを目を潤ませていかなくて済む方法を考えてくれている。
「帰ってくる?」
「ああ、伝えたら帰るよ。氷狼を貸してくれるかい」
「ん」
不安そうに見上げ、こんなにたくさんのの氷狼たちを用意してくれる。こんな姿を見てスノーラを嫌いになれるわけがなかった。
「行ってくるよ」
「ん」
心配そうに口をもごもごさせてから、最後に困ったように一言だけ言う姿は愛らしくて残虐な魔人のイメージとは似ても似つかなかった。
氷狼に引かれたソリは早く、一時間くらいで歩いて二日という距離を走破する。村に到着した。村人が僕を見て大急ぎで村のみんなに伝えている。大体40人くらいが生贄に出された僕が帰ってきたことで集まった。
こんなに僕が帰ってきたことでみんな集まってくれるんだ。心配してくれていたんだと嬉しい。生贄にされた時は、みんなが僕を裏切っているように感じたから。
「生贄を来年から出さなくて良いんだ。これからもこの村に雪が降って気温が氷点下を下回ることはないよ」
「どうしてそんなことが言えるんだよ!」
「生贄に出された作物は山に住んでいる女性が貰っていたんだ、だからお供えされていた作物は山神様に届いてないんだ――
――だから!生贄を出す必要はないんだよ!!」
――えっ!?
村人の方から矢が飛んできた。全て、足か手を狙われていてみんなは僕を捕まえようと各々が得物を持ち、僕に向かってくる。
みんなを刺激しないように隠れていた氷狼たちが僕を守ろうとみんなに襲いかかる。僕は襟首を咥えられるとそのままソリに乗せられ、スノーラの元まで猛スピードでソリを引っ張る氷狼が走り出す。
――どうして?みんな、生贄を出さなくて良いんだよ?
「待て!その女のせいでいつまでも山が晴れないんだ!!」
――彼女は魔人だけど、悪い存在ではないんだよ。寂しがりやなだけで……
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