急襲、それは閻魔、それは道標
丸焼き幼虫を食べ始めて5分ほどが経ち、お互いに一匹分を完食し残りをインベントリに入れる。
「つまり、ゲンゴロウと戦ってゾウムシの幼虫食ってSTM回復してまた戦うを繰り返すんだな?」
「そのとーり」
ほぼ作業ゲー……作業ゲーは嫌いじゃないけど好きでもないんだよなぁ……
「ああ、早く街に行かせてくれ。街、街……」
グラパーが再びゲンゴロウを釣り上げたとき、ライラックは考えることをやめた。
釣る、倒す、食う。釣る、倒す、食う。釣る、倒す、食う………
レベルアップ、レベルアップ、レベルアップ、レベルアップ………
「ま、待て!ちょっと待て!ステータスの整理!させて!」
「えー釣り上げた後に言われてもなあ。じゃあ代わりに倒しとくよ?」
レベルアップを重ね、今俺のレベルは22になっていた。6も上がったら、色々確認したいものがある。
パッと見確認したものだとスキルレベルが全部2ずつ上がったのと、【昆虫食家】の称号を手に入れていたのだが……
何回も杖で串刺しにしていたせいか、何やら変なスキルを獲得してしまっていた。
【偽装展開:蜻蛉切】
それは天下の名槍であるが、これはそうでは無い。
これは槍持たぬ者の槍、名槍の模倣品である。しかし、その鋭さに違い無し。
一日に一度使用可能。
杖を魔力が覆い、【蜻蛉切:偽槍】に変化する。
【蜻蛉切:偽槍】
穂先から放たれるは刺突、そして魔法。
毎秒1以上の任意のMPを消費する。消費MPによって効果が変化する。
MPが0になった場合、自動的に解除される。
魔法使用の際、MP消費無し。杖の効果は引き継ぐ。
ATK+100×消費MP
MAT+100×消費MP
うん、何と言うかすごい。杖が槍になるんだってよ。いや、どう考えても初期に獲得できるスキルじゃないが……普通は杖をモンスターにぶっ刺す奴なんて居ないはずなのでそれがトリガーになったのかもしれない。
毎秒MPを消費するので今だとスキルの回復込で2分半くらいしか持たないが、魔法のMP消費無しはでかすぎるし、後普通に上昇値がエグい。
そしてこれによりステータスビルドの方針は決まった。高機動魔法戦士。魔法職で近接戦闘もこなすならAGIは必須、MATとMPはもちろんだが、ATKまで強化する必要もあるが……強いことは間違いない。では早速ステータスポイントを振るとしよう。
というわけで振り終わったものがこちら。
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ライラック Lv:22 【LvUPまで残り:243EXP】
・魔法士【氷使い】
【ステータス】
HP【体力】:40
MP【魔力】:70
ATK【物理攻撃力】:20
MAT【魔法攻撃力】:70
DEF【物理防御力】:15
MDF【魔法防御力】:15
AGI【敏捷性】:60
INT【知性】:15
LUC【幸運】:15
STM【持久力】:100(MAX) 1%↑/sec
残存ステータスポイント:0
【装備】
右:普通の杖 13/100
左:普通の魔導書
頭:無し
胴:普通のローブ
腰:普通のローブ
足:普通のブーツ
アクセサリー:無し
【スキル】
・アッドスペル Lv:7
・ラピッドスペル→イミディアトリー・マジック
・セルフマナリカバリー Lv:4
・オートマナリカバリー Lv:3
・マナインクリース
・
・偽装展開:蜻蛉切
【称号】
・駆け出しバグハンター
・見習いバグハンター
・氷の使い手
・氷結術師
・昆虫食家
所持金:1000リテス
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意外と変わったところが多い。まずラピッドスペルはイミディアトリー・マジックに。効果は…5秒間魔法のリキャストタイムが0!?これ蜻蛉切:偽槍と合わせたらすごいことになるのでは?
あと地味に嬉しいのが新スキルのマナインクリース。五分間MPの上限が+100されるのだが、使用後にポーションを飲めば実質MP170だ。いやでもセルフマナリカバリーで30回復できるし実質200……?
ぞわり。
突然襲った寒気。ゲームのものであると言えど、これは無視できたものではなかった。
背後に何か大きなものが動く音。振り返り、姿を現したソレを目の当たりにする。
左右非対称な顎……それは間違いなく「肉食昆虫界のラストエンペラー」の異名を持つ…
オオエンマハンミョウ、それが目の前に居た。
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