第5話
縁側に座っているとチリンチリンと、
昨日聞いたような音が遠くから聞こえてきた。
私は『来た!!』と心の中で思いながら、
急いで音が鳴った場所を探した。
『やっと見つけた!!』
そう思いながら自転車を止めて休んでいる
男の子に近づき、肩を叩いた。
すると男の子はビクリと体を震わせ
驚いた目でこちらを振り返った。
私は慌てて謝ろうとしたが、
自分の声が出ないことを忘れていたことに
気づく。
だからアワアワとしながら手のひらを合わせて
申し訳なさそうなポーズをすると、
〔大丈夫〕
という意味の手話をした。
その後に男の子は自身の耳を指差し、
指でバツマークを作って見せた。
きっと耳が聞こえないという意味なんだと思う。
私は勇気を出して、
〔話したいことがあるから、また明日会える?〕
と手話で聞くと、男の子は目を丸くしながら
〔手話できるの?〕
と聞いてきた。
〔うん〕
そう伝えると
〔なんだか嬉しい〕
と表しながら笑顔を見せた。
その瞬間、私はある音を聞いた。
きっと、これは恋の音。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます