第2話

田舎に来て良かったと思う。


近くに住んでいる人が少ないから


何か言われるかもしれないなんていう


心配をしなくても済むし、


田舎の方が微かな音でも綺麗に聞こえるからだ。




そんなある日、


家族にある提案をされた。


それは


『筆談ではなく、手話を学んでみないか』


という提案だった。


お母さんのお母さん。


つまり私から見ておばあちゃんに値する人は


耳が聞こえなかったらしい。


それでお母さんは手話を勉強して


おばあちゃんと話をしていたと聞かされた。


きっとお母さんも子供みたいに


実の母を愛していたんだなって、


大切にしてたんだなって気づいた。


しかも、


そんな心動かされるエピソードを聞いといて


『学ばない』なんて言えるわけが無い。


それどころか言いたくもなかった。




だから私はお母さんに『頑張って習得するね』


と元気よく返事すると


お母さんは過去一の笑顔を私に見せた。


それくらい母親にとって子は


大事なものなのだろうと思った。

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