異世界社長 ～転生したらブラック企業を救う魔法経営者でした～

第7話 魔王の娘、現る！意外な同盟提案

「社長、大変です！ 外に怪しい人がいます！」

リアが慌てて駆け込んできた。急いで外に出ると、そこには豪華なローブをまとった若い女性が立っていた。目元は涼やかで、美しいが威圧感のある存在感を放っている。

「初めまして、セイヴァーズ社の皆さん。私は魔王カンパニーCEOの娘、リリスと申します。」

彼女の口から出た「魔王カンパニー」の名前に、社員たちは一斉に警戒態勢に入る。しかし、リリスは手を挙げて微笑んだ。

「安心してください。今日は争いに来たわけではありません。」

リリスの意外な提案

リリスは俺たちを会議室に招き、静かに話し始めた。

「父、つまり魔王カンパニーのCEOは、あなたたちを潰すつもりでいます。でも私は違う。あなたたちに協力したいのです。」

「協力だと？ 魔王の娘が、俺たちに？」

俺は思わず身構えたが、リリスは真剣な表情を崩さない。

「父のやり方は古い。強引な買収や、力での支配は時代遅れです。私は新しいビジネスモデルを求めています。そして、その可能性をあなたたちの会社に見出したのです。」

彼女はさらにこう続けた。

「スカイドローンの技術を共同開発させてください。その代わり、魔王カンパニー内の情報を提供します。」

社内の動揺

「信じていいんでしょうか、社長？」

ルークが不安げに尋ねてくる。それも無理はない。魔王カンパニーの娘というだけでなく、彼女の提案があまりに突然すぎる。

「正直、まだ信じるかどうかは分からない。でも、彼女の協力が得られれば、大きな武器になる。」

俺は慎重にリリスの提案を検討することにした。

リリスの能力：魔法分析術

リリスはただの魔王の娘ではなかった。彼女は「魔法分析術」と呼ばれる特殊なスキルを持っており、これにより複雑な魔法の仕組みを一瞬で解析することができる。

「これを使えば、スカイドローンの改良もさらに加速できます。」

彼女はその場でスカイドローンの設計図を見て、改良案を次々に提示していった。その正確さとスピードに、社員たちも驚きを隠せなかった。

魔王の暗躍

一方、魔王カンパニーでは、魔王自らがセイヴァーズ社の動きを監視していた。

「リリスめ、余計なことを……。だが、それも計算のうちだ。」

魔王は新たな刺客を準備しており、リリスの裏切りすら利用するつもりでいた。

「次の一手で奴らを完全に叩き潰す……。」

リリスの真意

「なぜ、俺たちに協力しようと思ったんだ？」

俺はリリスに直接尋ねた。彼女は少しだけ考えた後、静かに答えた。

「父のビジネスは力と恐怖によるもの。私はそれを変えたい。ビジネスは、人を幸せにするためのものだと思っています。」

その言葉に、俺は少しだけリリスを信じてもいいと思えた。

次なる試練への準備

リリスの協力を得た俺たちは、次なる試練に備えて新たな戦略を立て始めた。魔王カンパニーの内部情報と、リリスの魔法分析術を活用し、セイヴァーズ社はこれまでにないスピードで成長を遂げていく。

「次の試練が来たら、必ず勝つぞ！」

社員たちの目に宿った自信を見て、俺は確信した。この会社は、どんな困難でも乗り越えられると――。