異世界社長 ～転生したらブラック企業を救う魔法経営者でした～

第8話 裏切りと陰謀！セイヴァーズ社、最大の危機

「社長、大変です！スカイドローンの設計データが何者かに盗まれました！」

その知らせは、朝一番にリアから飛び込んできた。驚いてデータを確認すると、確かに最新改良版の設計図が全て消えている。加えて、会社の外部システムにアクセスした痕跡が残っていた。

「これじゃ、次の試練どころか、スカイドローンが競争力を失う……。」

俺はすぐに社員たちを集め、緊急会議を開いた。

疑惑の目がリリスに向けられる

「まさか、リリスがやったんじゃないでしょうね……？」

メイが不安げに言う。その場の空気が一気に張り詰めた。リリスは静かに立ち上がり、毅然とした表情で答える。

「私はあなたたちを裏切っていません。けれど、このデータを盗んだのが魔王カンパニーだとしたら、父が私を試している可能性があります。」

「試す……？」

「私の忠誠心を測るために、わざとこうした事件を起こすのです。」

リリスの説明に、社員たちは完全に納得したわけではなかったが、他に手がかりもなかった。

魔王の新刺客、現る

その日の夕方、セイヴァーズ社に新たな刺客が現れた。漆黒のローブをまとった男で、その目には冷徹な光が宿っている。

「初めまして、私は魔王カンパニーの情報戦略部長、ナイトです。」

彼は嘲笑を浮かべながら、盗まれた設計図を手にしていた。

「これが貴社の最新技術でしょう？ 非常に興味深い。しかし、これを市場に出すのは我々だ。」

「そんなことをさせるものか！」

俺が叫ぶと、ナイトは肩をすくめて続けた。

「そう言うと思いました。そこで提案です。次の試練は、『製品の実用性テスト』で勝負しましょう。条件はこうです――同じ設計図を基に、どちらがより優れた製品を作れるか。」

社員たちの危機感

「設計図が盗まれた以上、同じスタートラインに立たされるなんて不利すぎる！」

リアが悔しそうに拳を握る。しかし、俺は静かに言った。

「いや、俺たちは必ず勝つ。大事なのは、設計図だけじゃない。どれだけ工夫し、改良できるかだ。」

俺の言葉に、社員たちは少しずつ落ち着きを取り戻した。

リリスの提案：魔王カンパニーの弱点を突け

その夜、リリスが俺の部屋を訪ねてきた。

「社長、私に考えがあります。」

彼女は魔王カンパニーの内部情報を基に、ナイトの行動パターンを読み解き、その弱点を突く戦略を提案した。

「ナイトは完璧主義者です。彼の製品は美しさを重視しますが、実用性には欠ける傾向があります。それを逆手に取るのです。」

社員たちの奮起

翌朝、俺たちは全力で新たな製品開発に取り組み始めた。

製品の簡略化：リアが提案したのは、スカイドローンの部品数を減らし、コストを削減しつつ耐久性を向上させることだった。

ユーザー視点の徹底：メイが地元の農家や物流業者に直接ヒアリングを行い、製品の改良に反映。

技術の応用：ルークは初めて自分のアイデアを積極的に形にし、製品の操作性を向上させた。

試練当日：実用性テストの勝者は……

試練当日、ナイトは自信満々に自社製品を披露した。そのデザインは洗練されており、観客からは称賛の声が上がる。

しかし、俺たちの製品はそれを上回った。シンプルでありながら多機能、耐久性も高いスカイドローン3.0が、ユーザーにとって真に必要な価値を提供したのだ。

「これがセイヴァーズ社の力です！」

審査員たちは迷うことなく、俺たちを勝者に選んだ。

ナイトの敗北、そして魔王の動向

敗北を悟ったナイトは苦々しい表情を浮かべながら去っていった。

「次に動くのは父です。覚悟しておいてください。」

リリスの言葉に、俺たちは一層気を引き締めた。次は、魔王との直接対決が待っている。