第2話 社長就任!初日からトラブル続出!?

「え? 俺が社長だって?」


俺の言葉に、社員たちの間からどよめきが起こる。とはいえ、社員全員でたった5人だ。その5人も目の下にクマができ、目は虚ろ。あきらかに疲弊しきっている。


「異世界から来た救世主様が社長になることは、この会社を救うための第一歩です!」


リアが力強く宣言するが、社員たちは全く信用していない様子だ。むしろ「あの女、また無茶なことを……」といった表情を隠そうともしていない。


「……救世主って呼ぶのやめろ。普通に社長でいい」


「わかりました、社長!」


こうして、俺は異世界のブラック企業「株式会社セイヴァーズ」の新社長になった。しかし、就任早々、現実を突きつけられることになる。


「この会社、ヤバすぎるだろ……」


リアから渡された財務資料を見て、俺は頭を抱えた。会社の資産はほぼゼロ。月々の収益は雀の涙、しかも借金が山積み。社員の給料も3か月滞納しているらしい。


さらに追い打ちをかけるように、社員の一人、メイが手を挙げて口を開く。


「社長、すみません。今月末で辞めます」


「えっ、辞める!? 理由は?」


「給料が支払われないからです……あと、魔王の買収計画が怖いですし……」


どうやらこの会社、魔王の支配する「ヘルズカンパニー」に目を付けられているらしい。買収どころか、事実上の乗っ取りだ。


「これは思った以上に手強いな……」


だが、俺の社会人経験が役に立つ場面でもある。まずは社内の問題点をリストアップすることにした。


問題点:


資金がない

社員のやる気がない

魔王の買収計画

リアの暴走気味な期待感

「一つずつ潰していくしかないな……」


初仕事:社内改革を開始せよ!

「おい、全員集まれ!」


俺は社員たちを呼び寄せ、会議を開いた。この世界にはプロジェクターなんて便利なものはないが、魔法で空中に図を表示できる「魔法ホワイトボード」がある。


「まず、この会社はブラック企業から脱却する!」


「えっ、でもそんなの可能なんですか?」


社員の一人、技術担当のルークが不安そうに尋ねる。彼は見た目こそ若いが、どうやらこの会社の中で唯一まともに働いている人物らしい。


「可能かどうかじゃない。やるしかないんだ!」


俺はまず、社員のやる気を引き出すことを最優先に考えた。


「いいか、今日から残業はゼロにする! 定時で帰れ!」


「ええっ!? そんなことしたら仕事が終わりませんよ!」


「だからこそ、無駄な仕事を減らすんだ。効率化が鍵だ!」


俺はすぐにタスクの整理を始めた。リアルタイムで進捗を管理する魔法ツールを導入し、社員それぞれの業務負担を軽減する方法を考える。


「次に、給料だ。これは絶対に払う。方法を考えるから、信じてくれ」


社員たちの顔に、ほんの少しだけ光が差し始めた気がした。


魔王の刺客、登場!?

その日の夕方、俺が資料をまとめていると、会社の扉が乱暴に開かれた。


「ここが株式会社セイヴァーズか?」


現れたのは、スーツ姿の巨漢。背中には「ヘルズカンパニー」のロゴが光っている。


「魔王様の使者だ。さっさと降参して、この会社を売り渡せ!」


社員たちは凍り付くが、俺は立ち上がり、毅然とした態度で答えた。


「お断りだ。この会社は俺が立て直す!」


その瞬間、魔王の使者がニヤリと笑った。


「面白い。ならば、実力で示してみろ――!」


こうして、俺たちと魔王の買収計画との戦いが幕を開けるのだった――!

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