異世界社長 ~転生したらブラック企業を救う魔法経営者でした~

@yamitake

第1話異世界転生!?ブラック企業の救世主になるなんて聞いてない!

「……ふざけるな……また徹夜かよ……」


満員電車に揺られながら、俺、竹野貴也(たけの たかや)、34歳。肩書きはとあるブラック企業の中間管理職。年収はそこそこだが、労働時間はブラックどころか、漆黒の闇に包まれている。


昨日も上司に無理難題を押し付けられ、部下には仕事を押し付け返す余裕もなく、自分で片付けた。結果、家に帰ったのは午前4時。睡眠時間? そんなものはこの世界では都市伝説だ。


「こんな人生、もう嫌だ……」


心の中でぼやきながら、次の駅で降りる準備をしていたその時――目の前に突如、光の渦が現れた。


「な、なんだこれ!?」


光の渦に吸い込まれるようにして、俺の意識は途絶えた。


「……ん? ここは?」


目を覚ますと、見知らぬ草原の中。青い空に、どこか異世界っぽい空気感。おいおい、これは夢だよな?


「あなたが救世主ですか?」


突然、声をかけられた。振り向くと、そこには若くて美しい女性――いわゆる"異世界の美少女"が立っていた。彼女は白いローブをまとい、切実な表情を浮かべている。


「えっと……救世主? 俺が?」


「はい! 私たちの会社を救ってください!」


「……会社?」


なんで異世界で"会社"なんて単語が出てくるんだ? 疑問だらけの俺の目の前に、彼女は巨大な看板を指差した。


『株式会社セイヴァーズ 本社』


「ブラック企業そのものです!」と彼女が続ける。


どうやら、俺は異世界のブラック企業を救うために転生させられたらしい。意味がわからない。神様の気まぐれってやつか?


「とりあえず、状況を教えてくれ」


俺は半ば諦めの気持ちで、彼女――名前はリアと言った――から話を聞くことにした。


この世界では"経営魔法"という特殊な力で企業を運営しているらしい。しかし、このセイヴァーズ社は資金不足、人材不足、そして"魔王の買収計画"という三重苦に苦しんでいるという。


「貴也さんの現代知識と経営手腕が必要なんです!」


いやいや、俺はただのサラリーマンだぞ……と思いつつも、この世界に戻る術がない以上、やるしかない。


「わかった。俺がこの会社を立て直してやる……ただし、俺のやり方でな!」


こうして、俺の異世界ブラック企業改革が幕を開けた――!

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