人は、影と共に生きる
- ★★★ Excellent!!!
※読み合い企画からのレビューです
目立つことを嫌い、誰からも期待されずに過ごしていた主人公は、ある日、人間が抱える「影」を喰らう黒猫「カゲ」と出会う──という導入から始まる本作品は、まさしく人の心の影の部分をテーマにしている
「影」という存在を可視化し、それを否定するのではなく、乗り越えるのでもなく、ただ受け入れる
何故なら「影」は、その人が生きてきた歴史そのものでもあるからだ
自分の過去、心の闇、つらい思い出、強迫観念──それら曖昧な概念をまとめて「影」と称し、物語として解決に導いていく作者の手腕は圧巻
現実は、物語ほどわかりやすくはない
けれど、「自分の影を受け入れてもいいんだ」という強烈なメッセージは受け取った
このように、テーマ性、メッセージ性の強い本作、一読してみてはいかがだろう
面白さは保証する