※読み合い企画からのレビューです
主人公・ディックが目を覚ますと、ゾンビになっていた
神が用意したとしか思えない超便利なタブレットで、何故か酒場の経営をさせられることに──という導入から始まる本作品は、まさに経営シミュレーションゲームを地で行く小説だ
インベントリからツールを出し入れする
アイテムを購入すればすぐに手元に現れる
家を買えば一瞬で建つ──そういった経営シミュレーションの非現実的な点をまるまる受け入れ、そのまま再現した本作品は、その目の付けどころが非常に面白い
ポイントでアイテムやスキルを購入するシステムも、いつかこれを購入するかもしれない、いや、まずあれかもしれないと、先の展開に対するワクワク感に繋がっている
小説と言うより、経営シミュレーションゲームの実況プレイ動画を楽しむ感覚に近いだろうか
次へ次へと先を読みたくなる本作、是非一度手に取ってみてほしい
気がつけば、ゾンビになっていた。
しかも朽ち果てた酒場に閉じ込められ、外には一歩も出られない!?
絶望のどん底に突き落とされた俺の前に現れたのは、謎の光る石板。
そこにはこう書かれていた——
『酒場を経営しよう!』
まさかのゾンビ転生 × 酒場経営シミュレーションがスタート!?
しかし、客が来るわけもないボロ酒場。
俺のメニューは「井戸水」のみ。
なのに、神アプリの指示に従ったら……
まさかの美人僧侶四姉妹がスタッフ入り!?
異世界で一番ヤバいゾンビ店長が、
個性爆発の仲間たちと酒場を繁盛させるために大奮闘!
客が来るのか? 金は稼げるのか? …っていうか、俺、人間に戻れるのか!?
異世界 × 経営シミュ × コメディ × ユニーク設定 。
バカバカしくも最高に面白い、前代未聞の異世界ゾンビ酒場ライフが今、幕を開ける!
しばしば言われる言葉に、「発展した技術は、ほとんど魔法と変わらない」などというものがあります。
本作はそんな「発展した世界の遺物」であるタブレットが、とある元冒険者……しかも死亡済み……の手に渡ったらどうなるか、という観察実験的な側面のある作品です。
ひとまず手探りながらもタブレットの操作はできている様子なので、ゾンビになってしまった主人公の脳に重大なダメージが発生してない様子なのが救いです。
これからタブレットを駆使してどのように成長していくのか、また周囲の世界がどのように描かれるのか、かなり自由な空白の余地が楽しめそうな作品です。