第4話 お題には「名詞」が多い
『お題』にはさまざまなタイプが存在します。
①「試験」のような単語で与えられるもの。KAC2024「箱」、KAC2024「ささくれ」、KAC2024「色」、KAC2024「めがね」など。【(広い)名詞のお題】
②KAC2023「アンラッキー7」KAC2022「88歳」KAC2021の「21回目」のような、その言葉に特別な意味を持たせる【(狭い)名詞のお題】
③KAC2021「走る」KAC2021「尊い」の動詞や形容詞、KAC2024「トリあえず」KAC2023「ぐちゃぐちゃ」の副詞など【名詞以外のお題】
④KAC2022「焼き鳥が登場する物語」「私だけのヒーロー」のようなある言葉(名詞)の意味内容を限定する言葉がつけられたもの。
⑤KAC2024「書き出しが『○○には三分以内にやらなければならないことがあった』」条件指定もの。
これ以外もありそうではありますが、とりあえず、適当に分類してみました。
「名詞」が多いですね。
文法的には、自立語で活用がない単語で、かんたんに言うと「モノやコトの名前」ですね。ちなみに自立語というのは、その単語だけで「意味がわかる」ものだと考えると良いでしょう。
「お題」というのは、その作品についてこんなテーマで書いてくださいね、というのを表した言葉ですから、当然「名詞」が多くなります。
はい、テーマって?
テーマは主題。主題?
小説なら、作品全体を通して表そうとした考え、思想、観念のこと。もちろんこれは(短い)短編イベントにおけるものですから、そんな大層なものではなくもっと軽い感じですね。その短編を読んで「お題」の言葉がちゃんと想起されたらミッションクリアですってことだと考えれば良いです。(主題、テーマについて語りだしたらそれだけで一本創作論が書けてしまいますから、今回はその程度の認識でOKです)
「名詞」のお題が「書きやすい」のは、イスとかリンゴと言われれば誰もが同じ(ような)ものをイメージします。その色やカタチが異なっていたとしても共通認識がありますからイメージを共有しやすい。ですが、その「名詞」が特殊なものであったり、抽象的なものであるときは、ちょっと苦労しますかね。最悪の場合、短編の中にカッコ書きかなんかにして、お題のワードはちゃんと使っていますよ、みたいな誤魔化し方もあります(というかそれが多い)。タイトルにそのワードを入れて保険をかけておくというのも同じです。
卯月の『こんな世界になっても試験官は人力です。~幼女連れのプロ試験官の憂鬱~』も『長い長いアリエルの試験の旅路~見習い魔法少女と黒の魔導士~』も、タイトルに「試験」という言葉を入れています。これはどちらかと言えば、「例の運営さまが始めた『お題』イベントに参加している作品ですよ~」というのを気づいてもらうためです。そんなことを意識していない一般的な読者さま(読み専さま)にとってはどうでもいいことなので、お題の言葉を使う場合にはおかしな感じ(バランスが悪くなる)にならないように気をつけたほうが良いと思います。
ですが、イベント参加者だけに意識を向けて書く場合は問題ありません。上に書いた⑤なんて、そういう内輪で楽しむ感じのお題ですから。
気をつけないといけないのは、抽象的な名詞の場合ですね。愛とか平和なんて典型ですかね。みんな知っている言葉ですけど、目で見たり触れてみたりすることのできないカタチの無いもの。ベタな展開なんかで、読み手の頭の中にあるであろう「誰もが知るストーリー、思い浮かべるであろうシチュエーション」に被せれば楽々クリアではありますけど、そういったのに逆らいたい書き手の方もカクヨムには多いのではないかと思います(卯月もそう)。
自分としては、これは「愛」のあるひとつの表現だ! という感じで特殊なのを書き上げたとしても、「平和」とは真逆の残虐なシーンや情景、登場人物の苦しみを表現して逆説的に表現(まあ、たった数千字でできるかどうかは知らん)しきっても、「何かこれ違うくね?」ってポイされることも。短期集中系の『お題』イベントの場合、あまり真剣になりすぎないことも必要かと思います。書き手内の回し読みであるなら、制限ある中での上手い表現に「なるほど」という気づきや読み取りがあるかもしれませんが、サークル内の練習でないのならばそのへんを期待してもガッカリすることになるかもしれません。(ですが、それでも自分は挑戦するっていう書き手の方を卯月は心から応援しています)
こういう「ネット上イベント」のお題ものはやはり「分かりやすさ」が優先されます。卯月はKAC2024のときに強くそう感じましたかね(反応が段違い)。ブンガクや深い人間のナニカは別の場で表現されるのがよいかと思います(自信のある戦闘力がフ◯ーザ様以上の方については何も問題はありませんので、どうぞどうぞ)。
そんな『お題』ですが、「書きやすい」名詞ものであっても、実際やってみようとして、あれ? 書けないんですけど……、ってなることがあると思います。
次は、卯月がどうやって『お題』の発表から、比較的早めに作品を仕上げてしまうのかについて書きたいと思います。
『お題』系短編企画・イベントにおける短編小説執筆の『考える技術』 卯月二一 @uduki21uduki
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