Part5


 エドガーがおこなった行為、そして光。

 見覚えのある緑色の光に、姉妹は。


「ねぇ姉さん、あの緑色のって」


「ええ……覚えています。昨日の……」


 緑色の魔法陣を見た姉妹は、覚えのあるその魔法陣にハッとした。

 そしてその瞬間、十二の魔法陣から出現したのは……十二体の女性。


「――我ら【従魔】、エドガー様のために!!」


「フィ、フィルウェイン……!?」


 森の入口で待機していたはずのメイドが、見たこともないような格好で出現した。

 ロヴァルト家のメイド三体は、どう見てもメイド服ではない。宿の従業員の三体も、王都で連絡係をしている三体も、国外にいたはずの三体も。

 十二体の誰もが、まるで決戦勝負服……気合の入った衣装で、それぞれ専用の武器を装備していたのだ。


「な、なにその格好……!」


 何故か、彼女たちの主人であるエドガーも驚いていた。


「エドガー様〜〜!【従魔】一同、馳せ参じました〜〜!」


「エドガー様。先月振りになりま――ふぐっ!!」


 牛の【従魔】メジュアと、久し振りにエドガーに会った虎の【従魔】……名をティニーという女性が、首を掴まれて言葉を遮られる。


「今はそれどころじゃない。まずは、あの魔物の駆逐を優先だよ。それがエドガー様のご命令なんだから」


 ティニーの首を掴んだ女性は、淡々と冷静に言い放った。

 しかしティニーは金髪に黒のメッシュの入った髪を振り乱し、首を掴んできたもう一人の【従魔】に食って掛かる。


「なっ、何をするんだココっ!アタシはエドガー様にご報告をぉぉぉぉっ!」


「だから、それどころじゃないっての。すみませんエドガー様、この馬鹿虎は反省させますので、エドガー様は目的の成就を!」


 淡々とティニーを連れて行く【従魔】の一人。


「うわっ!こらっ……このっ!アホ鳥ぃぃぃぃ!!うわぁぁぁん!エドガー様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「……げ、元気そうで何よりだよ。ティニーもココも、他の皆もだけどさ」


 ティニーをズルズルと引っ張り連れて行ったのは、鳥の【従魔】ココ。

 一月振りの再会とはいえ、今は緊急。ココの対応は正直ありがたかった。

 そしてもうひとり、犬の【従魔】ヨルが……寂しそうな顔をしながらエドガーを見ていたが、空気を呼んで傍へは来なかった。

 【従魔】十一体はそれぞれ、フィルウェインの指示を聞いてエドガーたち三人の壁になるように立ち、それぞれ耳や尾、魔物の特徴を半分だした半魔物の姿で戦闘を開始する。


 そして【石魔獣ガリュグス】との戦闘が開始されると、まさに魔物。

 姿は人間だが、特徴的な魔物の一部を身体に出現させ、十二体の【従魔】が躍動する。その様子はまさに、逸話に聞く……伝説の戦乙女のようなものだった。

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