第12話『赫鴒剣姫』全9Part
Part1
森へ入ったエドガーたち。
メンバーはエドガー、ローザ、エミリア、アルメリアだ。
馬車の御者をしていたフィルウェインだけは、馬車の管理のため森の入口で待機している。
今は夕刻へ差し掛かる時間帯、日が落ち始めてきたばかりだ。
暗くはないが、森の中は違う。この【月光の森】は【七つ木の森】とは違い、道が整備されていないため、木々が密集しており、更には樹木の大きさも違う。
そのため、本来の時間よりも暗く感じたことだろう。
しかしそんなことお構いなしのローザは、まるで暗視能力でもあるかのようにズカズカと進み、暗さなど無縁の様子で。
「――あら、早速来るわよ」
「え?来るって一体……」
【輝石】の反応を追って先行してくれるローザが不意にそう言った。
後ろのエミリアは、ローザの背にぶつかる寸前で停止し、その言葉の意味を問う。
「さっき言ったでしょう?小さな反応が無数にあるって。それよ、それ」
「ローザ、来たと言うことは……その反応、まさか動くのですか?」
「え!そ、それってまさか……」
ローザの言葉に、アルメリアもエミリアも予測を立てた。
そしてエドガーが、その答え合わせを述べる。
「――小さな反応は、【
「ま、魔物……」
「か、覚悟は決めていますっ。例え、あのときのメジュアのような魔物が現れたとしても!
姉妹が思い出す魔物のイメージは、昨夜の鋼牛メジュアの姿だった。
エミリアは槍を、アルメリアは腰の双剣を抜き、戦う覚悟を見せる。
しかしエドガーは、そんな二人に笑顔で。
「いや、ここはローザさんに任せたい。彼女の力を、二人にも見ておいてもらいたいし……それに、二人が想像しているような魔物じゃないよ、多分ね」
エドガーは簡単にそう言い放ち、ローザもそれを聞いて頷いている。
「そうね。二人の顔を見る限り、想像している魔物のような感じではないわ……精々、ゴブリン程度のものよ」
「――ローザさんの世界にも、ゴブリンがっ!?」
「え、えぇ」
パァッ――と表情を輝かせ、エドガーはローザに話を聞いている。
ローザは色々と解説しているが、若干押され気味だった。
しかし対象的に、姉妹二人の不安は拭えない。
「ゴ、ゴブリンって確か、おとぎ話に出てくる……子供くらいの大きさの、洞窟とかに住み着いてるっていう、生物だったっけ」
「ええ、そのはずです。ですが知能もあり、人間との交配も可能と……恐ろしいイメージしかないのですが……」
おとぎ話のイメージだけでは、どうも掴めない。
そもそも、この国のおとぎ話で語られるゴブリンとは……言う事を聞かない子供に言い聞かせるための方便だった訳なのだが……。
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