ブン。カンニング頼む。
京極 道真
第1話 試験勉強忘れた!
やっちまった!今日から夏休み前の期末テストがはじまる。
が、寝てしまった。
昨日の夜はつい新作ゲームが出るとのPC内の広告に目が行き、プロモーションゲームにトライ。
あまりの面白さに。案の定、はまり。時間だけが過ぎる。
僕の悪い性格だ。もう少し、もう少しとずるずる。
気づけば0:05。目が痛い。勉強はできない。
「寝よう。」明日の朝、早く起きればいいか。
勝手に自己完結で納得。そのまま僕は爆睡。
「ピーピー」携帯のアラーム。
4:00の文字だけ目に入る。早すぎる。僕は目を閉じまた寝た。
「アキラ!起きなさい。遅刻よ。」
携帯の時間は7:16。
「あー、終わった。」試験勉強はやってないし、遅刻だ。
僕は速攻で着替えパンを加えて玄関を出た。
「行ってきまーす!」
僕はダッシュで学校へ向かう。
中2の2学期の期末テスト。いい点とりたい。
なのに僕は。ダッシュした足が止まる。
今のクラスは比較的平均値が高くない。普通だ。クラスのメンバーの性格。成績、運動ともに平均だ。
さすが2年2組。
代々この中学では2年2組は有名で平均の中の平均。普通の中の普通らしい。
まあな、僕のモブ的存在にはベストなクラスだ。
しかし、今回の期末テストには一つ条件があった。
一番最下位の一人は3組に移動しなければいけない。
そのポジションだけは欲しくない。
それに頭が悪いを証明したようなものだ。それに単にかっこ悪い。
僕にはこのクラスで好きな子がいる。霧島さんだ。聡明で可愛い。
オタクの僕には3次元の女子は重すぎるが彼女は別だ。
夢みるオタクにとってはアイドルだ。
まあ、霧島さんにバカだと思われたくない。最下位だけは免れたい。
ただそれだけなのに。「やっちまった!寝てしまった。」
僕は独り言をブツブツつぶやきながら歩きだした。
同じ制服の生徒が同じ方向にたくさん歩いている。
「はあー。」またため息を出してしまった。
「おい。そこの人間!」
誰かが僕を呼ぶ。まわりの生徒達はお誰も反応しない。えっ?ぼくの聞き間違えかな?
「おい。そこの人間!」
聞こえた。
「どこだ!」
「ここだ。お前の目の前だ。
僕の目の前に蚊?違うな。蚊のような虫が飛んでいる。
僕は手で追い払った。
「おい。人間。今、僕のカラダにあたったぞ。痛い。気をつけろ。
せっかくお前の願いを叶えてやろうと飛んできたのにさ。」
僕の目の前の虫が偉そうにしゃべりだす。
虫が「そこの人間。この状況を信じてないな。見てろ。」
その虫がブーンと僕のまわりを一回りした。「ピタッ。」と時間が
止まった。
「よし、人間。これで僕の存在を否定できなよな。」
偉そうな口調の虫に腹が立つがまあ、この状況も面白そうだ。
時間が止まっている。
「で、僕に良い提案があるってなんだ。」
「その前に名前ぐらい名乗らせろ。お前は人間のくせに自己紹介もできないのか!」
「ほんと、お前は生意気な虫だな。」
「俺様の名前はブンだ。時空をさまよう虫様だ。偉いんだぞ。」
「でもしょせん、虫だろう。」
「お前こそ口が悪いな。お前の名前は?俺様は先に名乗ったぞ。」
「僕はアキラ。今すごく困っている状態だ。」
「知ってる。期末テストの勉強、何もしていないんだろう。」
「そうだ。」
「じゃあ、アキラ。僕は虫だ。テスト中に他の奴のテストをカンニングしてやるよ。
アキラが全教科100点とったら僕とカラダを交換してほしい。」
「カラダを交換?」
僕は素早く脳内で考えた。いくら虫のブンがカンニングしたとしても僕が全教科100点とることは難しい。僕はすぐさま「いいよ。ブン。その条件のむよ。」
「そうか。」ブンはまた僕のまわりを逆方向にまわって時間を進めた。
「ブン。行くぞ。」僕らは校門を一緒にくぐった。
チャイムが鳴る。一限目国語のテストがはじまる。
一問目漢字熟語。何とかすらすら書けた。
2門目。文章問題。意外とムズイ。ひっかけ問題もある。答えは1か3で迷う僕。
たぶん3だ。「ブン。頼む教えてくれ。」
「OK。」ブンはみんなの答案用紙を見て回り。「答えは3だ。」
僕はブンを信じて答えを書いた。
2時間目は数学。ここは何とか自力で。えっ?でもまあなんとか終わった。
かなり順調だ。
3時限目理科。これは得意科目だから特にブンのカンニングの力は必要ない。
終了。何とか3教科は終わった。
休み時間だ。
「アキラ、どうだった?」アオとリクが来る。
「まあ、まあかな。」
ブンが僕のまわりを飛び回る。
「アキラ、学校は楽しいな。」
「おい、ブン。静かにしろ。友達にバレるだろう。」
「別にいいじゃないか。もうすでにカンニングは始まっているんだし。」
「しかし!」
アオが「アキラ、どうした。さっきからブツブツ誰としゃべってるんだ?
昨日勉強のやりすぎで寝てないんじゃないか?」
「それはない。大丈夫だ。虫が飛んでてさ。」
「そっか。そういえば試験中にも小さな虫が飛んでたよな。」
「そうだいたな。小さな虫。気が散ったよ。」
「それは悪かった。」
「えっ?なんでアキラが謝るんだ。お前は虫じゃないだろう。」
「そうだな。」なぜか僕はとっさに笑ってごまかした。
そして最後の4時間目は社会。
「わあー地図だ。しかもかなりトリッキーな問題だ。わあーだめだ。ブン。頼む。」
「OK。アキラ、さっきは友達に僕のこと。虫は邪魔だとか言ってたよな。」
「ブン。邪魔だなんて言ってないよ。誤解だ。だからこの地図も問題の答えを頼む。」
「アキラは調子がいいな。」
「そっか?」
「まあ、いいや。」ブンは社会は、ほぼカンニングで間違いないようだ。
そして、チャイムがなり、期末テストは終了。
ブンの姿も見えなくなってしまった。
そして僕の記憶もなくなるころて1週間がたった。
先生の「テストを返します。」の声。
「よく頑張ったな。」4教科で、僕はすべての教科で100点をとってしまった。
僕のカラダがグルグル回って
気づくと僕のカラダは虫になっていた。羽根をバタバタと音を出している。
「うるさい。」
えっ?聞き覚えのある声だ。「ブン!」
ブンは僕の友達のアオとリクと一緒にいる。
「?」ブンは制服を着ている。
「あー、そうだった。ぼくが100点すべてでとったらカラダを交代するって言った。約束してしまった。」
ブンが「アキラ。人間のカラダは面白いな。」
「ブン。僕が悪かった。人間のカラダを返してくれ。」
ブンが「それはできない。アキラ、カンニングの代償は大きいぞ。
人間はつい、目も前の欲で答えてしまう。
しかし代償は必ずくる。タダじゃない。どんなことでも何らかのリスクがあることを再認識「するように。」
「じゃあ。また。」ブンはアオとリクと一緒に教室を出て行った。
期末テスト。カンニングの代償は大きかった。
ブン。カンニング頼む。 京極 道真 @mmmmm11111
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます