WW6編 ナノ視点 第二十一話 雨後
〜〜〜マギス郷 西区にて〜〜〜
葬想十禍たちを撃退し、何とか市民たちを守り抜いたナノ。ルミナスの寿命という代償は払ったが、万全の状態で戦闘を終えた彼女は逃げ遅れた市民たちの救助活動に当っていた。
ナノ「消し去れ」
コマンドを発動し、瓦礫の山を消し去るナノ。瓦礫のあった場所からは、瀕死状態の市民が1人現れた。
ナノ(大丈夫、まだ息はあるわね)
ナノ「護式 ゴッデス・ティアー」
彼女の治癒術式により、市民は目を覚ました
市民「あ、………貴女は……」
ナノ「虚影兵が避難所まで運んでくれます。ゆっくり休んで下さい」
戦闘中の修羅のような風貌から打って変わり、慈愛と可愛らしさに満ちた声でそう語りかける
ナノ(この辺りは片付いたわね…次はマギス北駅の指導部の方々と一度合流しましょう)
ナノ「書き換えよ」
〜〜マギス北駅にて〜〜
マギス郷北部に位置する、ミスタルシア第二の交通拠点マギス北駅。葬想十禍の襲来を受けたミスタルシアは、レヴィオン鉄道の数十台の列車を総動員し、市民たちをレヴィオン自治区まで避難させていた。戦闘が終結した現在も、数えきれない程の市民が列を成し避難を待ち望んでいる。そんな中、ナノは避難誘導の指揮を取る1人の高官を見つけた
ナノ(あれは…イメラ大臣!)
身体にピッタリと密着した正装に身を包み、高身長で端正な顔立ち。典型的な秀才の風貌を醸し出す彼は、吹き抜け型の駅構内を忙しなく動き回る。市民たちに寄り添いながら、時に部下に檄を飛ばしていた。そんな彼がようやく一息付いたのを見て、ナノは地上へと降下し声をかける。
ナノ「イメラ閣下!ご無事ですか!」
イメラ「これは、ナノ殿!お陰でこちらは安泰です!激闘の直後でお疲れでしょう?一度貴賓室でお休み下さい」
ナノ「いえ、私は万全ですので、これから野戦病院で軍医たちの指揮を取ります。それより、ルミナス首相の容態は……」
イメラ「ええ、先ほど目を覚まされて、今はレヴィオン国立病院でお休みになっています。レフィーエ軍医長官によれば、少なくとも数年ほどは生きられるとのことです……」
ナノ「そう……なのですね……ルミナス首相には悪いことをしてしまいました…私を生かすために代償を払ってしまって……」
イメラ「そう気を落とさないで下され。閣下も目を覚まされて一言目には、ナノ殿への感謝と賞賛を述べておられました。」
ナノ「であれば、私の心も少しは救われます…感謝します」
イメラ「では、私は仕事に戻らなくてはなりません。この戦争が終わった後は共に食事にでも出かけましょう」
彼の言葉に頬を緩ませたナノ
ナノ「ええ、楽しみにしています」
そう言い残し、ナノは再び空へと飛び去った。
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