WW6編 ナノ視点 第二十話 結末

〜〜〜マギス郷 西区にて〜〜〜

葬想十禍、最後の一人である唯我。彼は、この地区の防衛に当たっていたイルミスナ隊長の遺体を踏みつけにし、廃墟と化した街を見渡していた。筋骨隆々の肉体に、全身を鉄の鎧で覆われたその姿は、古代ローマの戦士を思わせた。

唯我「ふむ、真実たちの本隊も撃破されたか…ふ、吉報だ。我の剣ミヒライテは、仲間が倒れるたび、その分の力を我に与える!さあ来い!ナノ提督よ!我が剣の錆にしてくれよう!」

ナノ「お呼びかな?」

唯我「……!!」

虚空から声が響き、ナノがその姿を表した。唯我は素早い身のこなしで彼女から距離を取る。

唯我「随分と長いこと待たせてくれたな、提督殿。真実の出鱈目な力に余程手こずっか?」

ナノ「さあ?どうだか?不本意ながら、現在の私は最高潮の状態なのでね。最後の一体は一撃で終わらせてもらおう。」

唯我「我をたった一人と侮るなかれ!先ほどの説明を聞いていただろう!我は既に倒れた9体の力を吸収しているのだ!現在の我の魔力指数は実に140京!さあ決闘だ!貴様の首を、ブリゲード・リーシャの眼前に突き出してくれよう!」

彼が剣を振り上げたその時、ナノは落ち着き放った表情を崩さず、そっと呟いた。

ナノ「奥義 九の章・不死鳥」

その鳥が放つ炎は、これまでの戦いで見せたものとは比べものにならない程の熱を帯びていた

唯我「………!!!」

唯我(バカな!これだけの火力があるなど聞いていないぞ!まさかこの戦いの中で急激に力を増したのか!)

唯我「煌めけ!ミヒライテ!……くっ…」

彼の剣からは、力の奔流が黄金のオーラとして溢れ出し、なんとか不死鳥の炎を抑えていた。しかし、金と赤の境界線はだんだんと唯我の側進み、彼はついに炎に呑み込まれた。

唯我(まずい…押し…負けて…)

唯我「うおああぁぁあ!!!」

不死鳥が爆ぜる音と共に、唯我の断末魔が響き渡る。爆煙が晴れると、彼が立っていた場所には大きなクレーターが生まれ、遺体は欠片すらも残らなかった。

ナノ(体が……軽い……一つの戦いの中で、二度も死の淵から蘇り、私の力は急激に強化されたんだ………だけど、お姉様が生きた証と、ルミナス首相の寿命を犠牲にしてしまった…………)

ナノ(いいえ、悪いことばかりではないわ!これで師匠たちの後顧の憂は断たれた!後はお二人の力を信じるのみよ!)

ナノ「師匠、エミリア閣下、どうかご武運を」

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