MW WW6編 ナノ視点 第十六話 迷想
〜〜回想シーン ある日のマギス郷にて〜〜
雲一つ無い快晴の空、そこでは2人の能力者が宙を舞い、矢を射掛け合っていた。しかし、2人の間には殺気が全く無い。暫く経つと片方の能力者が地上へと撃墜された。
ナノ「はあ……はあ…はあ…」
リーシャ「よし、今日の稽古はここまで!貴方また腕を上げたわね。以前よりも長く私の動きについてこられるようになってる!私も練習になって助かるわ…今までエミリア以外の練習相手なんていなかったもの…」
ナノ「お褒めに預かり……光栄…です…はあ…」
リーシャ「あ、無理して喋らないで!急所は外したけど、傷は付いているわよね?」
ナノ「いえ、この程度…う、…」
リーシャ「護式 ゴッデス・ティアー」
雫の形をした魔力がナノを包む。ナノの体に付けられた切り傷は忽ち消え去り、呼吸を整えたナノが姿を表した。
ナノ「申し訳ございません…師匠…私の力不足でお手を煩わせてしまいました…」
リーシャ「もう、ナノは堅いわねーこんなの何の手間でもないのよ。可愛い一番弟子が頑張った証なんだから。たまには甘えてくれたっていいのに」
そう言ってナノの頭を撫でるリーシャ。ナノの黒く艶やかな長い髪が、リーシャの細い指に絡みつく。彼女の手は、頭皮を伝いながら髪を梳かしてゆく。ナノはその心地よい感触に思わず目を細める。
ナノ「………!!!」
だが、我に帰ったナノはリーシャの手をそっと遠ざける。しかし、その途中でも潤んだ瞳と真っ赤に染まった頬を隠せず、思わずリーシャから視線を逸らす。そして、しおらしいナノの態度に、リーシャも思わず頬を緩ませた。
リーシャ「まったく、戦闘中の凛々しさから考えられないほど可愛らしいわね……戦場で人柄が変わるのは私に似たのかしら?」
居た堪れなくなったナノを見て、少しからかい過ぎたと反省するリーシャ。甘ったるい空気感を変えるため、いつも通りの口調で話題を変える一言を呟いた。
リーシャ「さてと…私はこれから図書館にでも行って、時間を潰そうと思うのだけど…貴方はどうする?書類仕事も片付いているし、これか一緒に…」
何とか平静を取り戻したナノは告げた
ナノ「申し訳ございません…私はまだ新技の研究をしなくてはなりません。私には手に余る強大な技ですが、もう一歩で形にできそうなのです…」
リーシャ「ああ…そうだったわね、ロザリアの書、第三の奥義。私の創った、九の章・不死鳥と十一の章・雨注に次ぐ大技だなんて、口にするだけで心が揺さぶられるわ!前に計画書を見せてもらったけど、あの技は特定の感情エネルギーを起点にしているようね……一体どんな感情が必要なのかしら?」
再び頬を赤らめ答えるナノ
ナノ「そ、それは……秘密です……まだ試作段階の技ですので、完成してから師匠にお披露目しますので……」
リーシャ「そうなのね、楽しみにしてるわ!じゃあ、また明日司令部で会いましょう!」
そう言って都市部の方角へ飛び立つリーシャ。1人残されたナノは心中で呟く
ナノ(言える…言えるわけがありません……!!貴女への憧れ…もしかしたら、それ以上の感情かも知れない…私の中で最も大きな感情をエネルギーにしているなんて…それにあんな技名…一体どんな反応をされるか……)
ナノ「うっ、、………!!」
耳の裏まで真っ赤に染まった顔を両手で抑え、恥ずかしさの余り地面に蹲り呻き声を上げた。
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