MW WW6編 ナノ視点 第十五話 圧倒
再び近接する侮蔑と簒奪。ナノは最小限の魔力で退け時間を稼ぐが、相変わらず突破口は見つけられずにいた。
真実「またしても暇になってしまった…そちらが手を出さないのなら、こちらから行くぞ」
ナノ(遂に動き出す!)
真実「お主の足捌き、なかなかに見事だ。だが足元には気をつけろ、地面に溶岩が溜まっているぞ」
ナノ「奥義顕現・紅蓮永遠翼衣!」
ナノの足が溶かされるその寸前、彼女は背中に翼を生やし、空高くへと逃れた
真実「今宵は空前の悪天候、空からは槍が降り注ぐぞ」
ナノ「護式 アイギス・シールド」
光の球体の中で槍の雨を凌いだ
真実「なんと、天候は更に荒れるそうだ。宇宙から隕石が降り注いだ」
ナノ(まずい!こんなものが落ちたらマギス郷は瓦礫も残らない!)
ナノ「壱の章・炎旋風」
炎の鳥は隕石と衝突する。両者は天高くで弾け飛んだ。真上に向けて不死鳥を放った反動で、地上近くまで戻ったナノ。一息つく間もなく、真実からの追撃が注がれた
真実「地上からは、数万の銃火器が貴様を狙っているぞ」
ナノ「十四の章・閃華」
地上一帯を爆撃し、全ての銃火器を破壊する
ナノ(まずい、奴が一言呟く度に、技を一つ使わされている…奴は力を消耗している様子はない…このままでは、再び魔力が枯れてしまう…)
真実「貴様の周囲は重力が10京倍になった」
ナノ「くっ、……」
地面に押さえつけられ、身動きが取れなくなるナノ。何とか体が潰されないよう、魔力で身体を補強している
真実「貴様の周囲の原子は、全てが爆弾になった」
ナノ「護式 アンチ・テーゼ」
書き換えられた事象に対して、自動で真逆の事象改変を行うこの技。ナノは書き換えられた重力と原子を修正しようと試みた
安息「無駄だ」
しかし、ナノのコマンドなど無かったかのように、ナノの周りの原子が爆発した。不幸中の幸いで、爆風により重力の書き換えられた範囲から脱出した。
ナノ(そうか、奴の能力は真実を生み出す力。事象を書き換える力よりも一段上の領域にあるのか…)
真実「我ら全員は、魔力が全快まで回復した」
ナノ(そんなことまで!)
飢餓「輝きを放て、ブリザレヌ」
ナノ「書き換えよ」
真実「転移した先には雨注の領域があるぞ」
ナノ「座標変更!」
ナノ(敵の技まで複製できるとは…あの領域は侵入したあらゆる物質を消滅させる…自分の技に殺されるところであった)
侮蔑「あらあら、誰か二人ほど忘れていないかしら?」
ナノ「くっ……」
簒奪「殺したければ殺して下さい。真実が健在である限り、それに意味はありませんが。貴方の魔力が尽きるまで、私たちは何度でも突撃しましょう」
何度目かも忘れた3人の斬り合いが再開する。その横からも、飢餓の高火力の光線と、真実の際限ない攻撃注がれる。何とか魔力を節約しながら対処するナノだが完全に防戦一方。真実に傷を与えるなど夢のまた夢に見えた。暫く経つと、息を切らしたナノが地上へと降り立った
ナノ「はあ…はあ……はあ………」
不殺「いやあ…天晴れじゃ…お主はよう頑張った。だがもう分かったじゃろう…我らに勝つ術は存在しないのじゃ…お主のような良い素材が消えてしまうのは残念じゃが…せめて人の形を保ったまま死ぬがよい」
ナノ(どうする…このままでは本当に死んでしまうぞ…私が倒れれば、もうマギス郷を守れる者などいない…師匠から留守を預かり、姉上の形見まで使って、このまま無様に負けるのか……は!そうだ、まだ未完成の技だが、もうあれに賭けるしかない!あれを使えば、私は身動きを取れなくなる、下手をすれば命すらも…だが、もう手段は選んでいられない!あの方への憧れ、感謝、託された使命!全ての想いを一本の矢に込めて!)
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