WW6編 ナノ視点 第十三話 宝具
ナノ「開門せよ」
一同「………!!!」
ナノの右手に、円形の黒いワームホールが出現し、彼女は何かを取り出そうとしていた
不殺「ほう…まだ動けるか…なかなかに気概のある小娘じゃのう…」
簒奪(魔力カプセルのような物でも使うのでしょうか?彼女の魔力量からすれば焼け石に水だとは思いますが…?)
簒奪「大事を取りましょう、私が確実にトドメを刺します」
侮蔑「さっさと済ませなさいよね!アタシは早く街を壊しに行きたいの!」
安息(どんな道具に頼ろうとも、この状況を覆せるとは思えない…今武器庫へ手を伸ばす理由はいったい…)
簒奪はナノの首元に向け鞭を振り下ろす。遂にナノの命が断たれると思ったその時、ナノの全身から赤黒い力の奔流が放たれ、鞭を弾き返した
簒奪「は…!これは!侮蔑、早く貴方の爪を!」
安息「何が…起きているのだ…!」
簒奪以外の5体はまるで状況を呑み込めていなかった。禍々しい色をした奔流はナノの全身を包み込む。
侮蔑「刻め、破極!」
訳も分からぬまま簒奪の指示に従う侮蔑。しかし、既に形を持たない奔流に包まれた力の源に、その爪は届くことは無かった。黒い幕が消えると、そこには地に臥したはずのナノが力強く立っていた。先刻までのボロ雑巾のような姿は嘘のように、確固たる戦意をその瞳に宿し、討つべき敵を見据えていた。その背後には、女雛を模った一体の人形が宙に浮いていた。その人形は、発生した赤黒い奔流を全てその身に受けると、一瞬にしてこの世界から消失した。呆気に取られる十禍たちを尻目に、ナノは目を閉じ呟いた。
ナノ「申し訳ありません、お姉様」
ナノ(この人形だけは…絶対に使いたくは無かった…お姉様が私のために命懸けで残してくれた形見。これを使って、絶対に負けるわけにはいかない!)
真実「みな案ずるな、この事象の詳細は、私たちの脳内に響く声が教えてくれるぞ」
真実がそう唱えると、少し遅れて全員が状況を理解する。
侮蔑「へえ…姉の形見…死の直前に魂を代価にねえ…何ともロマンチックな話ですこと!」
簒奪「体内の疲労や魔力の消耗を<穢れ>という概念体に変換し、吸収する…私たちのデータベースにもこのようなコマンドは有りません。本当に特異な例ですね」
呆気に取れる十禍たちに、冷たい一声が浴びせられる
ナノ「黙れ!私の記憶に、土足で踏み込むなーー!!」
すると何の前触れも無く、空を覆い尽くすほどの量の矢が十禍たちに降り注いだ。怒りに駆られ、ナノ自身もほぼ無意識で放った攻撃は一瞬にして戦場の色を塗り替えてしまった。
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