MW WW6編 ナノ視点 第十二話 真相

侮蔑「あらあら!まだ立ち上がれるのね!だけど、これで貴方の魔力は完全に尽きた筈よ!もう私たちに負ける道理などありはしないわ!」

簒奪「ええ。今回ばかりは貴方に同意します。提督殿のこれまでの健闘に敬意を表し、貴方の敗北を決定付けた今の攻撃の詳細についてご教授しましょう。聡明な貴方は察しが付いているでしょうが…彼、真実の能力は「口にしたあらゆる虚実を真実にする力」です。例え世界の法則から外れても、問題なく現実にします」

不殺「しかし…簒奪殿が計画した戦力配分も見事であったのう…」

真実の側に立つ一人の男が口を開く。白い長髪と長い髭を生やすその老人は、その容貌に見合った嗄れた声でそう呟いた。原木の質感を保った長い杖をつき、全身を緑を基調とした独特な民族衣装に包まれ、祈祷師のような風貌をしていた。

不殺「わしらの主力は、規格外の概念能力を持つ真実殿と、戦闘力が抜きん出ている破壊殿。破壊殿の部隊には、チームワークに乏しく攻撃力に特化した二人を付ける。これにより、儂らの本隊はチームワークに優れ、防御や妨害系の能力を持つ5人が真実殿を守って戦うことになる。儂らは真実殿さえ護衛すれば、火力面などどうとでもなるからのう…この配分は最適と言えよう」

安息「それだけではない」

もう一人の男が声を発した。細身の長身に黒いキャソックを纏い、胸元では四本の小さな槍が交差した、十字のペンダントが輝いていた。神父のような服装とは不相応に、顔は無骨な仮面で覆われ、不気味な雰囲気を漂わせていた。

安息「攻撃力に特化した破壊たちの別動隊と戦い満身創痍の相手に、飢餓のブリザレヌで回復手段を断った上で長期戦に誘導。ここまで筋書き通りと言うのだから大したものだ」

飢餓「…………」

簒奪「お褒めに預かり光栄です。ですが、この計画はあくまで次善策です。私の見立てでは、破壊の相唱交歌<コールアイドル・レスポンス>

は提督殿の不死鳥を上回って勝利する筈だったのですが…」

侮蔑「あらあら、頭脳担当のくせに忘れちゃったのかしら?不死鳥には旭日?とかいう強化形態があったのよね?」

簒奪「勿論これにも訳があります。強化形態が初めて観測されたのは、半年前のミネルヴァ様の戦闘時です。まさかたった半年で、ただでさえ最難関の奥義、それも強化形態を師匠から教わり習得しているなど思いもしませんでした」

簒奪「さて、障害は無くなったとは言え私たちは任務の途中です。反省会は後回しにして…」

簒奪が場を仕切り直そうとしたその時、地面に這いつくばっていたナノが掠れた声で唱えた

ナノ「開門せよ」

一同「………!!!」

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