MW WW6編 ナノ視点 第十一話 窮地
しかし、その回答は思いもよらず敵の側から告げられた。
侮蔑「あらあら、私達がただで時間稼ぎに付き合ってあげるようなお人好しに見えたかしら?飢餓の能力は…周辺一帯の魔力や生命力を吸い取る力よ!大気中の魔力を吸い尽くされた貴方は魔力を回復することができずに、じわりじわりと私たちに嬲り殺しにされるの!ああ、出来損ないの貴方にはお似合いの最後ね!」
ナノ(飢餓…中衛のあの女か…無数の概念体に囲まれ輪郭すらも捉えられない…最も未知数の相手であったが、まさかそんな力を…恐らくあの球状の概念体が魔力を吸っているのだろう…何とかあの球を破壊できれば…)
飢餓へ攻撃をすべく弓を手に取るナノ。しかし、そんなナノの考えを打ち砕く動きが飢餓からあった。
飢餓「輝きを放て、ブリザレヌ」
ナノ(………!!!)
ナノ「奥義 十一の章・雨注」
侮蔑「あーらごめんなさいねえ!私としたことがつい言い忘れてしまったわ!飢餓は吸い取った魔力を、攻撃に変換することができるの!」
侮蔑「なるほど、先ほど自身の能力を開示したのは、ここで提督殿を騙すためですか…慢心ゆえではないようで安心しました」
ナノ「はあ…はあ……」
ナノ(まずい…あれだけ消耗した状態で奥義を使わされてしまった…もう後がない…
真実「残念だったな」
一瞬にして周囲の空気が張り詰める。後方で高みの見物をしていた男たちの一人が、遂に口を開いた。声を響かせたのは、3人の真ん中に立つ筋肉質の長身の男だ。壁のごとき体躯は、僧侶の装束のような衣装に包まれている。その背後には、九本の剣が円環を成して宙に留まっていた。
侮蔑「やれやれ、やっと主力様のお出ましね!随分長いこと後ろでふんぞり返っていたようだけど、お昼寝でもしていたのかしら?」
真実「先刻お主が防いだ光線は、空からもう十発ほど降り注ぐぞ」
ナノ(何を言っている?もうあの概念体は光を失っているぞ?)
ナノが訝しげな目線をその男へ向けていたその時、突如として空が紫色に染められた。その光は、先ほど飢餓が放った光線と全く同じ色をしている。
ナノ「何だと!」
彼の宣言通り、本当に空から十発の光線が降り注いだ。
ナノ「奥義 十一の章・雨注」
白い領域の中で、何とか彼女はその攻撃をやり過ごした。即死は免れたナノだが、魔力が底を尽きかけていた状態で奥義を二連続で使用した代償は大きい。爆煙が晴れ、姿を現したナノは息を切らし、今にも気を失ってしまいそうな惨状で6体を睨んでいた。
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