MW WW6編 ナノ視点 第十話 誤算

侮蔑「あは!受けたわね!私の爪を!私の侮蔑の力が込められた爪、破極。刺した対象に無力を刻み込み、その力を失わせる!能力を知りもしない相手の武器を軽率に受けるなんて、よくそれで双華の一番弟子でいられるわね!」

簒奪「侮蔑、わざわざ敵に情報を提供するなど何を考えているのですか?」

侮蔑「いいから黙ってなさい!」

ナノ(これは失敗だ…簒奪へ有効打を与えられる好機とはいえ、不用心であった。だが、まだ取り返しは付く)

炎の翼を消失させると、その背中からは光沢を放つ翼が姿を見せた。師匠のお下がりであり、紅蓮永遠翼衣の習得後も肌身離さず着用していた飛行装備、エリトラであった。

(機動力は落ちるが、空中機動力で奴らに劣ることは無いだろう)

侮蔑「あらあら、例の便利な翼は消えてしまったわね?あれが無くて私たちとやりあえるかしら?」

簒奪「油断はせず、2人で連携して斬りかかりましょう。」

侮蔑「分かってるわよ!」

力強く地を蹴った2人は、武器を振るいナノへ襲いかかる。対するナノは、再び宵刀を手に取り迎え撃った。真正面から禍々しい爪を突き出す侮蔑。一歩引いた場所から、簒奪が鞭を振るいナノを追い詰める。

ナノ(力を奪う爪と所有権を奪う鞭、武器をぶつけ合うことすらも許されない…刀から僅かに闇を放って弾いているが…このままではこちらが消耗してしまう…何とか簒奪の懐に入り込まねば)

ナノ「書き換えよ」

侮蔑「その技は何度も見ています」

簒奪は鞭を長く伸ばし、周辺一帯を薙ぎ払う。

手傷を負ったナノは再び座標転移で逃れるが、再び侮蔑が襲いかかる。

ナノ(この年増…力は大したことはないが、判断力に非常に優れている…懐に入る隙を見せないどころか、侮蔑の大振りな攻撃に繊細な鞭の斬撃を合わせ、完全に隙をカバーしている)

ナノの黒い刀、侮蔑の赫い爪、簒奪の鞭。地味な斬り合いが続くが、後方の4体は手を出す様子は無く戦いを静観している。ナノは後方にも意識を向けつつ、2人と斬り合う。互いに有効打を打てずに膠着状態であるが、この状況はナノにとって都合が良いと言えた。大技を使わずに過ごした時間は、奥義・不死鳥 旭日の使用で消耗した魔力を回復させるのに十分な長さだ。反撃を開始するため、自身の魔力に意識を向けたその時、ナノは自分の感覚を疑うことになる

ナノ(魔力が、ほとんど戻っていない!)

簒奪「違和感に気づきましたか…」

涼しい顔を浮かべる簒奪と嘲笑を見せる侮蔑。ナノはそんな二人の視線など気にも止めず、後方四体の能力の影響と推測し、考察を始めた。

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