MW WW6編 ナノ視点 第九話 分析
侮蔑「あらあら!この可愛げの無い子が私たちの相手?可愛いだけのあの小娘を倒して、余程調子づいたのね!」
簒奪「侮蔑、あまり仲間を侮辱するものではありません。彼女は先の戦闘でも最後まで生き残り、提督殿の魔力を大きく消耗させる活躍を見せました。それに、彼女の烈波による破壊力は誰にも真似できません。単純な戦闘能力は私たちの中で最も高いでしょう」
侮蔑「ごちゃごちゃうっさいわね!簒奪!大して強くもないのにリーダー気取りのオバサンは黙っていなさい!」
簒奪「オバサンというのが具体的にどの程度の年齢を指すのか分かりかねますが…私たちはつい数時間前に女王陛下がお創りになり…………」
ナノ(今度の敵は6体…恐らくそれぞれが感情の名前にちなんだ固有能力を持っている。先ほど倒した沈黙のクナイは、絶対防御と名高い雨注を無効化する程無法な能力であった。一瞬でも注意を怠れば、一気に足元を掬われる可能性がある…敵の配置は…前衛に侮蔑と簒奪、中衛が1人、後衛は…大男が3人、何やら真ん中の男を側の2人が守っているような構図だ。奴らの武器は…侮蔑は長い爪のような手袋、簒奪は鞭のような剣、中衛の女は無数に浮かぶ球状の概念体、後衛は武器すらも見せないか…不死鳥で魔力を消費した直後だ、ここは慎重にいこう。後方4体の動きに注視しながら、前衛の相手をして様子を見るとしよう)
ナノ「現出せよ」
簒奪「ふむ…先程の戦いで用いていた、闇を放出する刀ですか…詠唱が異なることから察するに、今回は使い捨てではないのでしょう」
ナノ「書き換えよ」
2人の背後に回ると、刀を振るうナノ。しかし刀から放たれた闇は、突如現出した炎の斬撃に掻き消された。
侮蔑「あは!そんな小刀で私たちの相手なんて、随分と自信があるのね!」
ナノ(今のは、奴の爪から放たれた…まだ能力の全貌は見えないが、まずは一つ判明した)
ピシューン
風を切る音が聞こえる。簒奪が音も無く、長い鞭でナノへ攻撃を放つ。
ナノ「やあ!」
今度は背中の翼をはためかせ、熱波でそれを弾き返そうとする。
簒奪「甘いです…!」
ナノ(何だ…あの年増の鞭が炎を絡め取る!)
簒奪「絡み付け、アバリディア」
ナノ「……!!」
ナノの炎を鞭で絡め取った簒奪は、再び鞭を振るうとその炎をナノに向けて返した
ナノ「護式・アイギスシールド」
ナノ周囲に、球状の光の膜が発生し、炎を受け止めた。
ナノ(なるほど、反射能力か……いや、奴の名前から察するに、正確には「触れた物体の所有権を奪う能力」と言ったところか…能力の限界値を試している余裕など無い…ここは!)
ナノ「十の章・妖精の調べ」
一本の鋭い矢を放ったナノ。矢はすぐさま消失し、周囲に特殊な音を発生させた。脳へ直接作用するその音は、簒奪へ大きな苦痛を与える
簒奪「なるほど…反射をされるのなら形の無いもので…なかなかいい発想です…」
侮蔑「こっちよ!ウスノロ!」
侮蔑「刻め、破極!」
背後から襲いかかる侮蔑。右手に付けた長く鋭い爪でナノを突き刺そうとする。しかし、彼女は振り返ることもせずに、背中の翼で弾き返した。簒奪へ接近し追撃をするため、再び翼を動かそうとしたその時、彼女は背中に強烈な違和感を覚えた!
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