MW WW6編 ナノ視点 第八話 転戦
〜〜〜マギス郷上空にて〜〜〜
ナノ(次は、6体が降りていった方向へ向かおう。あの時の角度から考えて、恐らく南ニコラ区だな…)
ナノ「書き換えよ」
南ニコラへと移動した彼女が目にしたのは、多くの人々で賑わう街並みではなく、魔力の焼けこげる匂いと廃れた瓦礫の山であった。
ナノ(クソ!ここはもう落ちたか…いくらか逃げ遅れた民間人も犠牲になっている……あ…あれは!ワルツ少佐!モモ大尉!)
そこに倒れていたのは、この地区の防衛に当たった二人の軍人であった。彼らの死体にはほとんど外傷が無く、ただ心臓付近に小さな穴が空いているのみであった。彼らの手には杖が前方を向いたまま握られており、死に際まで必死の抵抗をしたことが伺えた。
ナノ「すまない…必ず仇は取る…!」
ナノ(まずい…もう奴らと戦えるのは私含め二人のみだ…イルミスナ隊長が西に降りた一体の足止めをしているのだろうが、長くは持つまい…一刻早くあの6体を倒さねば!奴らの魔力を感じられる…まだそう遠くまで行っていない)
ナノ「書き換えよ」
〜〜〜北ニコラ区にて〜〜〜
6体の十禍は陣形を組みながら進軍し、次々と建物を破壊し、人々の命を奪っていった。あちこちで逃げ回る市民たちの声が響き、その悲鳴すらも弾ける魔力の音に掻き消された。
市民「う、うおあ!!許して!許してくれ!」
侮蔑「あは!弱い弱い!その心に無力を刻みながら、世界の塵となるがいいわ!」
簒奪「貴方たちが死ぬことに理由などありません。我らの使命に従い、その命を奪います」
市民たち「嫌だ!死にたくない!」
6体の内2体が前線に立ち、武器を振るっていた。1人の女は、露出が多く大胆な赫いドレスに身を包み、高身長から常に周囲を見下すような視線を送っており、一際威圧感を放つ。それとは対照的に、もう1人の女性はどこか落ち着き放った雰囲気で佇んでいた。紺色を基調とした質素で活動的な衣装に身を包み、急所には的確に防護が取り付けられた、簡素な戦闘服を身に纏っていた。
ナノ「切り裂け」
2体の敵から放たれた魔力が一人の市民を消し去ろうとしたその寸前、座標転移で現れたナノが斬撃で弾き返し命を救った。
市民「あ、貴方は…ナノ提督様!」
ナノ「四の章・明転の牡鹿」
ナノが放った光の矢は牡鹿の形へと変化する。牡鹿の周囲には球状の眩い領域が広がる。光に包まれた市民たちの傷を癒してゆく。
ナノ「早く立ちなさい!牡鹿の側から離れずに北まで!マギス北駅まで逃げれば、レヴィオン自治区に脱出できる!」
市民たち「は、はい!」
市民の避難を見届けたナノは、僅かに緩めた表情を引き締めなおし、討つべき敵を見据えた。
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