WW6編 ナノ視点 第七話 矜持
ナノ「奥義 九の章・不死鳥 旭日」
彼女の呼び声により、破壊の歌声に完全に支配されていた空に波紋が広がった。大気中の熱と光がナノの弓矢に集積され、やがてそれは滾る炎として姿を現す。そしてその炎は不死鳥へと姿を変え突撃した。
破壊「そう来なくっちゃ!プリンセス・アンの創造物、葬想十禍の最高傑作であるボク!双華の片翼、ブリゲード・リーシャの一番弟子であるキミ!どちらの破壊の力が上回るのか、今ここで白黒付けよう!」
二人の大技はついにぶつかり合う。炎の鳥は波動が折り重なる領域にも臆さず突き進み、討つべき敵へと直進する。何百何千と波動をその身に浴びた鳥は、羽を削がれ、翼を捥がれ、何度も形を崩しかけた。しかし、術者の強い意志を反映するように、湧き出る業火でその身を修復しながら突き進みむと、ついにその鳥は彼女の目と鼻の先まで接近した。だが、破壊は力を振り絞り、寸前のところで食い止めていた
破壊「負ける…負けるわけにはいかないんだ!私たちは、マナリア民族歴代最強の魔法使い、プリンセス・アンの創造物だ!民族の誇りを背負った我々に敗北など許されない!」
ナノ「人形風情が誇りを語るか!貴様らは道具に過ぎない!本物の忠義と愛国心を持つ我々に敵う道理など無い!お前たちが感情と誤認するそれも、プログラムに規定された思考の働きでしかないのだ!」
ナノの怒りに呼応するように、炎の鳥は勢いを増し、ついに破壊を焦がし始めた
破壊「そん……な…陛下…申し訳……ござい……ません……」
破壊の瞳に浮かんだ涙は、すぐさま目の前の灼熱に掻き消された。そして、全てを焼き尽くし役目を終えた不死鳥は、爆音をたてて弾けるのだった。
ナノ「はあ…はあ…」
炎の幕が引き、ようやく蒼さを取り戻した空には、かろうじて人の形を保った破壊の焼死体が映し出された。その死体は、生前の可愛らしさからは考えられない程に惨めに、地上へと落下していった。
(魔力は消耗してしまったが、最小限の被害で倒せと言えるだろう…一息ついている暇すら無い、次は倍の数の敵を相手にするのだ…奴らの心を否定した私が負けることは、人類の尊厳にも関わる。絶対に勝たなくてはならない)
決意を新たにしたナノは、大義を胸に抱き次の戦場へと飛び立つのだった。
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