MW WW6編 ナノ視点 第六話 反撃
ナノ「それと、君は演技を完璧だと言ったいたが、むしろ私は君の演技を見て騙されているのを確信したのさ」
破壊「そんな…」
ナノ「私には、上官にして師匠である最強の弓術師がいる。あのお方は、戦死した全ての部下の名を、一兵卒に至るまで全て記憶し、遺族への弔慰金をご自身の財産から払っているんだ。私が側で、あの方の涙や悲しみをどれだけ見てきたと思っている!所詮人形に過ぎないお前たちの作り物の感情を、本物と見間違うはずがあるか!」
破壊「こんな……こんな結末…」
ナノ「その通りだ…紛い物の感情しか持たないお前たちの結末など…しょせんはこんなものだ」
破壊「こんな結末、ボクが破壊してやる!」
一瞬にしてナノから距離を取ると、マイクを手に取る破壊
ナノ(何!まだ戦意を失っていない!地上の仲間と合流されることを警戒していたが、たった一人で抗うつもりか!)
「崇めよ、白の章!祈れ、黒の章!」
「相唱交歌 <コールアイドル・レスポンス>!」
破壊の両脇に現れた白と黒の偶像は、破壊に向かって音波を放ち、破壊のマイクから放られた音波と衝突する。そして生まれた烈波は、目に見える形の波動となり、彼女の前後左右上下全方向へと拡散。幾重にも重なった波動は、絶えず彼女から放たれ、ナノはなんとか波動の間隙を縫って逃げ回った。
ナノ(まだ奥の手を隠していたか…この威力、まともに受けてはひとたまりも無い…ひとまず小手調べだ…)
ナノ「六の章・炎爪」
逃げ惑う中、苦し紛れの反撃を行うナノであったが、放った3本の炎の矢は、破壊へ届く前に全て烈波に撃ち落とされた。ほんの一瞬、反撃のために意識を割いたナノ。破壊はその僅かな好機を逃さず、さらに烈波を増幅させた。あっという間に、ナノの眼前まで空間の歪みが波となって押し寄せる。
ナノ(まずい…!)
ナノ「護式・セレスリジェクション」
ナノの眼前に空から光が降り注ぎ、輝かしい盾を形成する。
破壊「無駄だ!ボクの音色は、その程度で消えはしない!」
ナノ「くっ…腕が…痺れて…」
光の盾は、濁流のごとき空間のうねりを受け止める。しかし、盾はその烈波を抑え込むことができず、徐々にヒビが入る。
ナノ「書き換えよ」
ナノ(まずい…何本か骨が折れているな…雨注を使わなかったのは失敗だった…)
破壊「出し惜しみして勝てる相手じゃないよ!提督さん!早く本気を出さないと、マギス郷が全部瓦礫の山になっちゃうよー!」
ナノ(あれだけの波動を放ち続けながら、一向に魔力が尽きる気配が無い…あの警告も誇張でもなんでもないのだろう…)
ほんの僅かな間、烈波から逃げ回りながら逡巡するナノ。しかし彼女の常に冷静沈着な頭脳は直ぐに答えを出した。
ナノ(できれば力を温存したかったが、時間をかけていては地上が壊滅する…仕方ない…こちらも最大火力で迎え撃つとしよう)
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