MW WW6編 ナノ視点 第四話 計略
破壊「そんな……姦淫が……」
ナノ「あの傷の上に魔力まで吸われては、まず命は無いだろう。先を急ぐゆえ、貴様らも直ぐに仲間のもとに送ってやる。」
破壊「よくも……よくも…姦淫を…!絶対に許さない!」
破壊は再びマイクを口元に近づける
破壊「奏でよ、白の章!唄え、黒の章 !」
彼女の呼び声に応えるように、大気は大きく揺れ動く。戦場に緊張が走ったその刹那、破壊の両脇から人形の巨大な偶像が二つ出現した。十数メートルはあろう二つの像は、それぞれ白と黒の光を放ち、背中からは禍々しい翼を生やしている。その顔には目や鼻は無く、耳の辺りまで裂けた口が不気味に笑っていた。
ナノ(まさか…これほどの大技を…他の二体と比べても桁違いの魔力だ…)
破壊「賛歌共鳴!」
技名を唱えると、二つの偶像は向かい合い、長い口が開く。その瞬間、強烈な音波が放出された。放たれた音波は衝突し、やがて一つの烈波となり、ナノへ襲いかかった。
ナノ(初見では火力が測れない…ここは大事を取るとしよう)
ナノ「奥義 十一の章・雨注」
彼女の周囲に白い輝きを放つ球状の領域が展開される。師から授かった、絶対防御と名高いこの技の内で、ナノは束の間の安息を得た。
沈黙「掻き消せ、轟」
しかし沈黙は、無謀にもその領域に向け、自身の武器であるクナイを放っていた。
ナノ(そんなものでこの防御は破れはしない。これで3体の武器が判明したな。さっき倒した姦淫は羽を大量に撒き散らす弾幕、破壊は二つの偶像を用いた広範囲の音波攻撃、沈黙は概念体を用いているのが気になるが…)
パリン
ナノ「え」
沈黙のクナイが雨注の膜に突き刺さると、白い盾は簡単に砕け散った。盾を失ったナノに絶対に防いだはずの烈波が降り注ぐ。
ナノ「書き換えよ」
ナノ(まずい、何箇所かに傷が…まさか雨注が破られるとは…恐らくあの概念体は、触れた物体の機能を停止させる力を持っている…ひとまず回復を…)
ナノ「護式 ゴッデス・ティアー」
姦淫「敵は二人だけど思うてか?」
ナノ「な!」
姦淫「貪れ、抱擁の翼」
ナノ「破式・蒼天旋舞」
姦淫が放った無数の羽がナノへ襲いかかる。ナノはコマンドで全方位へ突風を発生させ羽を吹き飛ばした。
姦淫「甘いぞ…」
一度は羽を完全に退けたが、再び羽が生まれ襲いかかる。ナノが吹き飛ばした羽と合わせて、辺りは羽に覆われ、視界が封じられていた。
破壊「ムダだよー!そんな細い矢を何発打とうとも、これだけの羽を消せはしない!」
ナノは羽の幕の中で必死に矢を放ち、羽を退けようとした。しかし、視界すらも封じられるほどの、夥しい量の羽の前には矢の雨など無力であった。
羽の幕が消えると3体の視界には、羽と烈波に体のあちこちを抉られ、体中から血を流すナノが写し出された。
ナノ「………」
破壊「やったー!死んだふり作戦成功だね!」
姦淫「其方の体は既に傷だらけ、我らに勝てる道理など無しじゃ」
ナノ「何故…だ…お前は…確かにあの時…」
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