隕石
「そういえば、お前腹減ったか?」
「少しお腹すきました。」
「そうか、じゃあ少し待ってろ。」
2時間後
「ほら、待たせてすまんな。」
徳次郎はそう言いながら食器をお膳に置いた。そこにはたっぷり盛られた玄米や味噌汁、そして漬物があり、質素な見た目だがとても美味しそうだった。
「いただきます。」
翔はそう言って、箸を手に取った。翔はまず、玄米を口に運んだ。玄米は白米に比べて少し香ばしく、噛めば噛むほど甘く感じる独特の風味があった。翔は次に漬物を食べた。未来で食べられている漬物よりも塩漬けが強く、独特の酸味や旨味があった。次に、翔は味噌汁を飲んだ。出汁の旨味を生かしつつ、未来で飲まれている味噌汁よりもシンプルで素材本来の引き立っていてとても美味しく、翔はあっという間に全てたいらげた。
「どうだ、美味かったか?」
「はい、とても美味しかったです。」
「それは良かった。」
徳次郎はそう言って食器を片付けた。
「あの、徳次郎さんは隕石ってご存知ですか?」
「隕石?何だそれ。」
「空から降ってくる石のことです。」
「ああ、天降石のことか?」
「あ、それです。」
「それがどうした?」
「いや…何でもないです…そういえば今日って何日でしたっけ?」
「今日は8月12日だぞ。」
それを聞いた瞬間翔はまた青ざめた。なんと隕石が衝突するのは明日だったのだ。
「どうした?また顔が青くなってるぞ。」
「何でもないです…」
「おっと、もうこんな時間か。お前、畑仕事手伝ってくれないか?」
「分かりました。」
6時間後
「畑仕事って結構疲れますね。」
「ははは、そうだろう。」
「もうすっかり暗くなってしまいましたね。」
「もう今日は寝るか。」
「そうですね。」
2人は長屋に帰り、別々の部屋に布団を敷いて寝た。徳次郎は比較的早く入眠したが、翔はいつまでたっても眠れなかった。久しぶりに畑仕事という慣れないことをしたからと言うことも理由の1つであるが、1番の理由は明日隕石が落ちてくるということだ。隕石が衝突したことによって関東の30%が火災の被害に遭ったと翔は歴史の授業で習ったのだ。しかも、隕石が落ちたあとに致死率90%のウイルスが蔓延するのだ。考えれば考えるほど翔は心配になった。
翌日
結局翔は一睡もできなかった。翔は眠い目を擦って起き上がり、伸びをした。
「おはようさん。あれ、もしかして眠れなかったのか?」
「はい、あまり眠れなくて…」
「そうか、まあとりあえず朝飯にするか。準備手伝ってくれ。」
「はい。」
4時間後
2人は朝食を終えて畑仕事をしていた。すると、空に火球がしっかりと見えた。徳次郎はなんだろうと不思議な顔をしていたが、翔は火球の正体が何かすぐ分かった。
(隕石だ!)
少しすると今まで聞いたことのないような轟音が聞こえ、一瞬目をつぶっても眩しいくらいの明るさになった。徳次郎も今まで感じたことのない音と光にとても驚いていた。
「なんだ今のは!?」
「天降石が落ちたんです!」
「何!?」
少しすると、畑の近くにある城下町の人たちが慌てていた。何があったのだろうと徳次郎は不思議そうにしていた。だが、翔はなぜかが分かっていた。すると、畑に慌てた様子の人が来てこう言った。
「火事だ!」
そう言われた2人は明るくなっている所をよく見た。すると、なんと城下町が燃えていた。2人は畑仕事をやめ、急いで逃げた。奥では火消したちが水をかけたり建物を壊すなどして火を止めようとしていた。
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