後日談

 その後、ドクター・パラドックスがアンデッドアーサー・バーニングによって倒されたことで、ハウンズの調査が入った。

 赤い雫の生き残りである少年少女はハウンズが保護する形となり、再犯を防ぐように指導が行われたというが、アーサーの一部になったオレには見守ることしかできない。


「本当に良かったのか?この仕事を続けることは」

「相棒が僕に託してくれたんです。

なら、最後までやり通さないと、アイツに向ける顔もありませんから。

赤い雫の連中みたいに手遅れになる前に助けられるかもしれないし」


 アーサーはハウンズで戦っていくことを決めたらしい。

 あのはじめて出会った、夢の世界でのやり取りだけでは足りないかと思っていたが、オレたちはいつだって一つ。

 プロフェッサー・ウィスカーに今後も続けることを告げた顔は、どこか晴れやかなものだった。


「そうか。納得したなら、それでいい」

「アーサー!パトロールに行こうぜ!」

「すぐいくよ、ファルコン」


 ホワイトフットを連れたファルコンが顔を見せ、ハウンズの制服に袖を通したアーサーが飛び出していく。

 これからの日々は、坊主が、アーサーが作り出していく日々、作っていく明日が続く。

 完全にアーサーに託した、オレが知ることはない毎日が続いていく。

 オレのカイジン生スピンオフが終わり、オマエの人生がはじまる。


 負けるんじゃねえぞ、相棒アーサー


☆☆☆


 首都の警護を行う、ハウンズにはとある一人のヒーローがいることが囁かれている。

 ファルコン、ホワイトフット、レパードという猟犬たちとは別にどこからともなく現れ、炎を巻き上げるような姿に変身する異形のヒーロー。


「こ、こわいよう……」

「だ、だいじょぶだよ!!ぼくがついてるから!」

「これ以上、逃げ場はないぜ?その持ってる有り金、全部差し出しな!」


 幼い二人の兄弟を路地裏に追い詰めたゴロツキの三人組。

 彼らもまた、ドクター・パラドックスが作ったマジックアイテム、ラクリマを使う違法マジックアイテムユーザーである。


「ア、アンデッドアーサーがくるぞ!」

「はあ?イカれた化け物だって噂のアンデッドアーサーか?ヤツは来ねえよ!こんな広い首都だ!お前らの声なんて届かねえよ!!」


 ゴロツキの一人がラクリマを使用し、その姿を変えていく。

 全身がイボだらけのカエルのような姿をしたドロップ、トードドロップは長い舌を槍のように鋭くし、小さな兄の頭を貫こうとした時、異形の手がそれを掴む。


「お、お前は!?」


 予期せぬ客を前にトードドロップが問うと、その炎の魔人は不敵に答える。


「“僕たち”はアンデッドアーサー!アンデッドアーサー・バーニングだ!」

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特撮ヒーローのライバル系カイジン、異世界に転生す。 満あるこ @Jiegbright

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