悪意の報復
愛里が牧美の頭から足を退けた。
「もういいわ、許してあげる。私もやり過ぎちゃったわ、ごめんなさい」
愛里が急にニッコリと牧美に微笑みかけた。
「本当に許してくれるの?」
牧美がポロポロと涙を零しながら聞いた。
エス美とドーリはクスクスと笑っている。
「仲直りしましょう!! 私から毒島さんにプレゼントがあるの」
そう言って愛里は牧美に瓶を手渡した。
透明の瓶の中に赤い液体が入っている。
「これは?」
「化粧水よ、毒島さんちょっと肌荒れしてるじゃない?それを使えばスベスベになるわよ」
「私のために? ありがとう……」
牧美は嬉しそうに微笑んだ。
「ねえ、さっそく顔に塗ってみて!! ビックリするぐらい違うから」
愛里が急かすように言った。
牧美は瓶の中の液体を手に取ると顔に塗りたくった。
すると、皮膚にヒリヒリとした激痛が走った。
「ぎゃあああああああああああ!! 痛い! 痛いよう!!」
牧美は叫び声を上げた。
「あっはははは!!! 気に入ってくれた? 唐辛子入りの化粧水よ」
愛里が腹をかかえて笑う。
「ねえ、もっとバケ美ちゃんをキレイにしてあげて!! そういえば、ドーリーは美容師になるのが夢だったよね? バケ美ちゃんの髪をオシャレにカットしてあげて」
愛里が言うとドーリーはハサミを取り出して、牧美の髪の毛を切り始めた。
エス美は牧美が動かないように羽交い絞めにしている。
乱暴に切られた髪の毛がボロボロと地面の上に落ちる。
そして、見る見るうちに牧美は頭の半分だけが坊主頭になってしまった。
「うわー!! すっごーい!! 牧美ちゃん、超カッコイイ!! だはははははははは!!!!」
愛里は爆笑しながらスマートフォンで撮影した。
「そうだ、お化粧もしてあげる」
そう言ってドーリーは眉墨を取り出した。
「バケ美ちゃんは、お顔が派手だからメイクも派手にした方が合うと思うの。こうして眉毛もつなげて……鼻の穴も大きいから、そこを強調した方がいいと思うの」
眉毛はつなげられ、鼻の穴の付近を黒く塗られ、唇は口紅で大きく描かれた。
「鼻の穴すでにデカいのに、これ以上やってどうすんのよ あーっはははははは」
愛里が落書きされた牧美の顔を見て爆笑する。
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