愛里の報復

放課後、牧美は帰り道にある公園と道路に挟まれた歩道を歩いていた。


すると、公園樹の陰から愛里と二人の女子生徒が現れた。


二人とも見慣れない顔なので、別のクラスの生徒のようだ。


一人はメガネをかけた三つ編みの少女で真面目そうな風貌だが、陰湿そうな眼付きをしていた。


もう一人はロングヘアで、厚化粧で顔が真っ白になっていた。


メガネの少女はサディスティックな性格からエス美と呼ばれており、厚化粧の少女は白粉に真っ赤な口紅を塗った容姿から人形ドーリーと呼ばれている。


二人とも読者モデルをしている愛里のファンだったが、いつの間にか家来のような存在になっていた。


「よくも私に恥をかかせてくれたわね!! 一番の原因はバケ美、お前だから、もちろん歌音も許さないけどね」



愛里が憤怒の形相で牧美を睨みつける。



「お前、愛里ちゃんを傷つけてタダで済むと思うなよ!!」



エス美がポケットからカッターナイフを取り出して牧美を脅す。



「そいつを連れてきて……」


愛里は冷たく呟くと公園の中に入っていった。


エス美は牧美の首根っこを掴みながら、逃げないようにカッターナイフをチラつかせる。


「わーい!! 処刑だ! 処刑だ! 愛里様に逆らうから、こんな事になるのよ」


ドーリーが楽しそうに笑う。


公園のベンチに愛里が腰を下ろす。


エス美は牧美を地べたに跪かせた。


「ねえ、今朝の事、謝ってよ! あんたのせいで私が叩かれたんだからね」


愛里が鋭い口調で言った。


「ごっ……ごめんなさい」



牧美がボソボソとした声で謝った。


「はあ? 舐めてんの? 土下座して謝ってよ」



愛里がヒステリックに叫んだ。


「申し訳ありません……どうか、許してください」


牧美は言われるがままに土下座して謝った。


愛里は椅子に座ったまま牧美の頭を踏みつける。


権力者が奴隷を蹂躙するように高慢と蔑みの表情を浮かべながら…


「謝るんなら誠意を見せてよ~、ねえ、これぐらいちゃんと地べたに頭をつけてさぁ~」


靴でグリグリと牧美の頭を地面に押し付ける。


「おい! お前みたいな豚が愛里様に踏みつけていただけるなんて光栄な事だぞ! 感謝しろよ」


その様子を見てエス美とドーリーは愉快そうに笑っていた。


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