みたらあた
主水大也
見たら咫
あなたたちはきっと本能のいる部屋というものを見たことがある。それはある市の住宅街の一角にある家の中にある。見た目は発泡スチロールで出来た石レンガのようであり、風に吹かれては折れ曲がるネギのように身体を傾けた。窓はない、玄関はあるがポストも扉もない、酸解離定数の定義のようにプラプラと冴え渡りひらひらと固まっている。上を見ると、屋根の瓦の一つが扉となっている。イギリス式の扉の上にはガラス窓があり、中を覗ける。中を見ると、机に沈み込む器のような真っ黄色な目があり、規則正しく剪断力を拒否している。扉は人が入れる大きさではないので、あなたたちは困ってしまう。そうして頭を抱えて、目を瞑って、様々な論理だったような気色の悪い妄想を口からだらだらと垂らして、腕を見て、前を見ると、あなたたちはきっと家の中にいるだろう。木目金で出来た壁に頭を叩きつける。出ようと踠く、たとえ顎に魅力的な快感が広がったとしても、我々はあなたたちをまじまじと見る。苦悩の末、あなたたちは異質のみたらあたを齧って、死ぬ。きっと気持ちが良いのだろうなと、我々は指を咥えて見るしかなかった。
みたらあた 主水大也 @diamond0830
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