第5話 希望
俺は帰るなりまず風呂を沸かした。家事をこなして待ってるとお風呂が沸いた。早速風呂に入り、2本の角のようになった髪の毛を洗う。すると、昨晩と同じくヘナヘナとなり頭皮に着地。着地した髪を後ろに持っていき、背もたれに寄りかかってゆっくりと風呂に浸かった。その間、ヘアサイクルについて調べたが、異常事態な為、通常の、普通の、常識の範囲内で調べても意味がないと覚り、ただ、湯に浸かった。
昨晩と同じくタオルを撒き、乾かさずに風呂場を出た。昨晩と全く同じ状況ならば、分球するのも同じであろうと考えたのだ。俺が寝ている間に分球していたので、とりあえず寝てみることにした。まだ昼過ぎ。眠気などこれっぽっちも無いが、15分~30分位の仮眠なら出来るだろうと思った。
目覚める。
さてさて、とあまり希望を持たずタオルを取って鏡の前で自身を見た。すると、分球している!2本が4本になっている!これだ!俺は自ら希望を見出だし、そこから、まだ暖かい内にもう一度風呂に浸かり、髪の毛をヘナヘナにし、タオルで撒き、睡眠を取った。すると、4本だった髪の毛が8本になっていた。これだ!これの繰り返しで俺は何とかなる!何とかしてみせる!
俄然やる気になった俺は繰り返し風呂に入り、洗い、タオルで撒き、睡眠を取った。どんどん増えていく髪の毛に俺はもはや興奮状態となってしまい眠れなくなった。しかし、その時には計算上1000本の大台を突破。この調子でやれば明日には普通に戻るはずだ。
希望を見出だし喜んだ。踊った。しかし、あることに気がついた。明日元通りに戻ったとして、その後はどうなるのだ?計算上、あと7回程で元通りになるが、それ以降は?もし、それ以降も分球し続けたとしたら...私は電卓を叩いた。
あくまで計算上だが、現在1024本。あと7回で13万本を突破する。平均の毛髪量は10万本。要は明日頑張らなくても7日程度で通常に戻る。心配はその後だ。その後の1週間で167万本まで増える。これは平均毛髪量の16倍を越える。なんて事だ。折角希望を見出だしたのに、これではまた振り出しだ。私は肩を落とした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます