第2話 君の奏でる音楽
薄暗い体育館。照明が向けられて明るい舞台では、楽器を鳴らす男子が数人楽しそうに演奏してた。
同じ部活の部員に誘われてついて行ったのは、軽音部の演奏。友達か好きな人か、好意を寄せている人が軽音部にいるんだと思う。
「あぁ~もうっ、めっちゃカッコいい! ドラムだから舞台では目立たない位置にいっちゃうのが微妙だけどさ」
自分たちの場所が明るくなる、部員がスマートフォンを付けていた。見せてくれたのは動画で、映っているのは今舞台でドラムを演奏している男子だという。
本人が映像に残して、さらには投稿してるんだ。凄い。確かにカッコいい姿がそこにある。
流行りの曲、事前に募集していたらしい演奏してほしい曲など。ワクワクした感覚が続くように思えた時間は、あっという間に終わりを迎えた。
演奏が終わっても、軽音部の人を待ってる生徒が多くて体育館にいる人はなかなか減っていかない。
テレビに出ている人みたいな、人気者なんだと肌で感じた。
「漫研、良かった?」
「俺は好きだよ」
「特にどんなやつ?」
場所は賑やかなのに、自分に関することがあるとよく聞こえるのは何なんだろう。
「イラスト」
「え? 漫画研究部だよな? イラスト描いた人いたの」
「あったよ。すっげー上手かった」
イラストのこと話してるよって、部員が私の肩をつんつんする。
演奏してるときは、どの楽器だったかな。観客の盛り上がり、気分が乗ってきてる演奏者、スピーカーを通って広がるたくさんの音。
いろんなことを一度に受けるから、どの楽器だったか思い出せないな。せっかくイラストのことを褒めてくれてるのに、相手のことを知りたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます