第3話:推理力の高い吉川君。
な訳で井ノ原君は大学のラボにランドセルをつれて帰った。
ラボにランドセルを連れて帰ったもんだから研究員たちが他部郎のところに
集まって来た。
その中の一人の女子、他部郎の助手の吉川君が言った。
「井ノ原っちが連れてるその可愛い子・・・バーチャルかまちょドール「ランドセル・サッチェル」とそっくりじゃない?」
他部郎は博士だけど、ラボではまったけ威厳がない。
助手の吉川君からもまるで友達扱い・・・天才なのに・・・。
「どうも〜おネエさん・・・私、ランドセルどうぇ〜す」
「あ、どうも・・・いらっしゃ〜いランドセルちゃん・・・」
「井ノ原っちこの子、バーチャルアイドルでしょ?・・・知ってるよ私、
この子PCの中で見たことあるし、ついでに言うなら井ノ原っちが三食のご飯より
大好きなキャラだってことも・・・」
ランドセルは珍しそうにラボの中をあれこれ物色していた。
「そうなんだよ・・・どうやらランドセルの実体化に成功した誰かがいたみたいだ」
「え?そんなすごい技術持ってる人いるんだ・・・いったい誰が?」
「僕も知りたいよ・・・」
「って言うか、その子、ランドセルちゃんをどこから連れて帰ってきたの?」
「街でナンパした・・・なんて言ったら信じる?吉川君」
「私ならもっとましなウソつくけど・・・」
「たとえばどこかのブラック企業が井ノ原っちが研究してるブラック発生装置の
研究データを狙っていて、交換条件として井ノ原っちはランドセルちゃんが欲しい
がために相手に研究データ渡しちゃったとか・・・」
「吉川君、君、ここ辞めたら探偵事務所開けるよ」
「吉川探偵事務所・・・そしたら僕を助手として雇ってよ」
「なにバカなこと言ってるの」
「たとえば、で言ったのに・・・なに?図星だったの?」
「研究データよりランドセルのほうが僕には大事だったからさ・・・」
「なに言ってるの井ノ原っち・・・ブラックホール発生装置、どこかのバカ
企業に渡ったら悪用されるに決まってるじゃない?」
「いくらこの子が欲しいからって・・・人類を危機に
しれないんだよ・・・どうするの?」
博士の周りに集まって来ていた研究員たちもわざめき始めた。
「あ〜もう・・・心配ないから・・・データは誰にも渡してないよ」
「たしかにUSBは渡したけど中身はおネエちゃんの裸のエッチい画像しか
入ってないから」
「そうなの?・・・それならいいんだけど〜・・・ってよくないから」
「USBの中身が研究データじゃないって相手が気づいたら騙されたと思って
井ノ原っち狙われちゃうよ」
「その場で確かめなかった相手が悪いんだよ」
「それに僕を殺したらデータは二度と手に入らないからね」
「そんな悠長なこと言ってていいの?データ渡してない時とは今は状況が違うよ・・・命狙われるかもだよ」
「自宅にいる時も充分気をつけてよ」
「井ノ原っち・・・いつまで吉川ちゃんと話してるの?・・・退屈」
「あ〜分かった、分かった・・・吉川君、悪いね後は君に任せるから」
「僕はこの子を連れて帰るから・・・よろしく〜」
「井ノ原っち・・・くれぐれも気をつけてね」
「吉川君、もし僕が殺されたら研究は君が引き継いでよ・・・んじゃ〜ね」
他部郎はランドセルを連れてルンルン気分で自宅に帰った。
帰る最中、とりあえず用心したが誰かに襲われることもなく無事に家にたどり
着いた。
他部郎はまだ若いくせに一戸建てに住んでいる。
そりゃまあ、サラリーマンとは稼ぎが違うから・・・。
他部郎の家は郊外にあって一人住まいだけど、めちゃデカい家に住んでいた。
「へ〜ここが井ノ原っちのお家?・・・すごいね〜」
「あのさ、そう言う呼び方されると吉川君とカブっちゃうんだよね、吉川君に
呼ばれてるみたいだから、ラボにいるみたいで落ち着かないんだ、だから
他の呼び方に変えてくれると嬉しいかな?悪いけど・・・」
「う〜ん・・・いのはらたぶろう・・・やっぱり井ノ原っちで」
「え〜」
「たらいま〜・・・お帰り〜私〜」
「しょうがないな〜・・・ランドセル、お腹空いてる?」
「うん、空いてる・・・もうペコペコペコ×ペコ」
「そこのソファにでも座って待ってて・・・すぐに晩ご飯にするから」
一人暮らしだから自炊が得意だった他部郎・・・さくさくと晩ご飯を作りながら
思った・・・これって夢じゃないよな・・・ランドセルはここにちゃんといる
んだよな。
そう思ってソファのランドセルを見た・・・そしたら、せっかく着た制服を
脱いでまた素っ裸になってるし・・・恥ずかしいって概念が欠落してる開放的な子なんだランドセルって。
つづくかも。
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