第6話

 牧本さんの好物は梅干しだ。

 食中毒になりにくいからだ。


 ちなみに嫌いな者は生牡蠣と秋刀魚。

 これは逆になりやすいから。


 間違えて食中毒ループは地獄だからなぁ。


「また来てるよ梅干し屋さん……」


 ここは都内某所、と言うか東京スカイタワー直下のショッピングモール。


 空に現れる赤色の光で牧本さんの家はすぐに分かった。

 ストーカーと言われればそれまでだがこっちだってQOLクオリティオブライフが懸かっている。

 特にタイムリープの多い日は目の届く場所にいて欲しい。


「え、いいんですか!?」


 どうやらサービス梅干しを貰ったようだ。


「ありがとうございます!また来ます!」


 うっきうきの牧本さん。


 しかしその手の袋に入ったものは化粧品やアクセサリーではなく梅干し。

 少しおばあちゃん感がある。


 そして変装は完璧で黒いウィッグに黒のカラコン、スタイルを隠すゆったりとした服にスニーカーにマスク。


 これがいつものスタイル。


 ちなみにあまりキョロキョロはしない。

 なぜかと言うと。


「いぎゃん!?」


 余所見してずっこけるから。


◇ ◇ ◇


「ありがとうございます!また来ます!」


 ちなみに牧本さんは重度のアニオタでゲーオタだ。


 月1回は秋葉原とポケ○ンセンターに現れ、ゲーミングPCを自作したりしている。

 推しのVtuberもいるし、遊戯○カードも集めプレイしたりとか。

 この後もルーチン通りなら行くだろう。


 じっとぬいぐるみを見ている。

 そしてそのまま一直線にレジに向かう。


 そしてドジっ子ではあるが抜け目はない性格で、月1回のオタクショッピングと並行してそれ以外の場所でアリバイ工作の為ショッピングしている。


 例えば、土曜11時からアキバ以外てショッピング、18時に帰宅。


→タイムリープ


 土曜11時からアキバでショッピング。


 これをするとどうなるかと言うと、アキバでのショッピング時に万が一誰かにバレて声をかけられた場合、タイムリープすればいい。


 もし牧本さん本人か怪しいと声を掛けなかった場合、1だけだからだ。


 その為その場所その時間でしか知り得ない情報をきちんと集めて話している。


 こうすればアキバにいた牧本さんは別人だったのだと思われるという訳だ。


 こう言う所は抜け目ないよなぁ。


「あっ、すいま……ぎゃん!?」



 ◇ ◇ ◇


 うん。


 せめてもうちょっと人を避けれるようにはなって欲しいかな。



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