第5話

 牧本さんはスポーツの天才だ。


 今日はバレー、牧野さんの得意なスポーツのうちの1つ。


 レシーブは完璧顔面


「ほぎゃ!?」


 ……失礼、今のはtake8の顔面レシーブ。


 スパイクはブロックの隙間を的確に打ち抜く。


「はぁっ!!ぶぅっ!?」


 綺麗に空振りしてヘディングに。


◇ ◇ ◇


「凄いよ!それで何で部活入ってないの!?」


 これはtake20でうまく行った。


 前はtake35だったし、なかなかの成長。


「また単語帳見てるのか?本当勉強好きだな……今しかできない青春、もったいないないぜ?特に牧本さん、俺は1分1秒でもこの目に焼き付けておきたいね」


 こいつは幼馴染の平野、残念ながら男。

 平均的な身長体重、顔も平均、唯一平均以上なのは学力。


 暇すぎて俺が勉強教えまくってこうなった。


 確かに美人は3日で飽きるとか言うが牧本さんはそんな心配はない。

 多分1日おきに学習機能リセットされてる、だから色々なドジを見れる。


 タイムリープが起きるその瞬間を1回でも確認すれば牧本さんはそこから平均10回はタイムリープするから時間は使い放題だ。


 ちなみにタイムリープで最悪のタイミングはトイレ。

 下手すれば体感1時間の腹痛と排泄ループ。

 危うく変な性癖に目覚めそうになった。


 なのでトイレはループが起きる可能性の低い牧本さんの寝ている深夜、もしくは早朝に済ませる。

 もしくは俺の目の届くタイミングでトイレに行く。

 体育以外の授業中が1番起きにくいのでそこが狙い目だ。


 逆に最高なのは夏休み最後の7日間。

 夏休み2回目と言っても過言じゃなかったな。


 と、ここで改めて牧本さんの力を整理してみる。


 ①タイムリープは牧本さんの恥ずかしかった時には自動(無意識かは不明)で発動する。

 巻き戻された時間の中で更に大きな巻き戻しは起こらない。


 ②タイムリープ時間は最短7秒、最長7日間。7分、7時間単位も可能。目の色と雲の色でどれくらいタイムリープするかわかる。

 雲と目の色の変化は俺しかわからない。


 ③基本俺以外の皆は全て巻き戻る。

 俺だけは例外で記憶は引き継ぐが肉体的な成長や変化、老化や記録は巻き戻る。


 つまりスポーツの経験も脳に経験値として残る……はずなんだけど。


「ぐぇっ!?」


 何でネットに絡まってるの、牧本さん。




 


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