第4話 目覚めたら人類が滅んでいた件
何が何だか分からないまま、俺はエルフ族のユーリアに案内されてある場所へ。
そこは――
「ここが私の通うレイザード学園です」
「が、学園……」
俺たちは小高い丘から見下ろす形でその学園を眺める。
確か……封印される前は広大な平野が広がっていたよな、ここ。
その場所に、信じられないほど大きな建物がいくつも並んでいたのだ。
「さあ、こっちです。ニンゲンの歴史を知りたいのなら、学園長に聞くのが一番ですから」
「あ、ああ」
そう。
俺はなぜ人間が滅んだのか――その理由を知りたかった。
その謎を解く鍵を学園長が知っているはずだというユーリアの言葉を信じてこの学園へとやってきたのである。
学園は現在夏の長期休校中とのことだったので生徒の姿はほとんどなかった。
しかし、その数少ない生徒たちは俺を視界に捉えると一様に驚いた表情を浮かべる。
やっぱり……人間が珍しいんだな。
正直、まだ半信半疑だった。
けれど、この学園を目の当たりにして確信に至った。
これまでに何人かの生徒とすれ違ったけど、人間はひとりもいない。
おまけに、学園までの道中も違和感だらけだった。
幼い頃から何度も見てきたこの国の景色――だが、そこから都市や村といった人間の痕跡だけが綺麗サッパリなくなっていたのだ。
そうした情報を脳内で整理しているうちに、学園長室へ到着。
「エルフ寮二年のユーリアです。学園長に【ニンゲン】のことでお話しがあってきました」
ユーリアはノックをしてからそう告げる。
すると、中から「入りなさい」と返事が。
入室すると、広い部屋にひとりの老婆が。
恐らく彼女が学園長なのだろうが……どうやらドワーフ族のようだ。
その学園長の横には女の子が立っている。
服装がユーリアと同じ制服であることから、彼女もこの学園の生徒であるのが分かる。
だが、その種族は――
「ま、魔人族……」
紫色の肌に金色の瞳。
彼女はかつて人間と敵対関係であった魔人族であった。
「あんた……人間なの?」
あちらは驚きつつもすぐに俺が人間であると理解して警戒しているようだ。
一方、学園長は落ち着いている。
あの様子だと、俺がここへ来るのを事前に知っていたかのようだ。
「アテッサ、あんたがニンゲンを軽蔑しているのは知っているけど、この子は書物に残されている滅亡を呼んだ者たちとは無関係だよ」
「どうでしょうか。所詮ニンゲンなど皆同じでは?」
「あ、あの」
「まだこちらが話している最中でしょ? 黙っていなさい」
「もう、アテッサちゃんは怒りすぎだよ」
「ユーリア……あなたどこでこんなの拾ってきたのよ」
まるで人を野良犬みたいに……アテッサと呼ばれた魔人族の少女は俺とまともに会話をする気がなさそうだ。
「やれやれ、うるさいのはかなわないねぇ……それより、そっちの少年はこの世界のことが気になるんじゃないかい?」
「っ! は、はい! 気になりまくってます! どうして人間は滅んだのかを!」
「まあ、そうだろうね。――なら、掻い摘んで説明しようか」
学園長はそう告げると、ゆっくりと歴史を語り始めた。
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