第2話 〝F〟と言う刺客

 VOX 東京支部


 三条 聖は、8時28分にゲートを通過した。

遅刻ギリギリである。

 顔認証を済ませ、IDをかざす。

それから、アナログで、警備員により、再確認される。

 エレベーターホールより18階にある、テロ対策本部 東京支部 データ解析室に入る。

 聖は、遅刻同然で自分のデスクに、手荷物を置く。

朝、買ったコーヒーのテイクアウトが溢れそうになる。

 そんな聖に、サブリーダーの永田 匠ながた たくみが近寄る。

 「随分悠長だな!〝F〟が動くかもしれないぞ!」と、徹夜明けらしい真っ赤な目で、聖のコーヒーを、奪って行った。

「おい!コーヒー返せ!」と言い返すが、永田は、「いいから、PC早く立ち上げろ!」と言い放ち、コーヒーに手をつけた。

 聖は、不満気にそそくさと、PCを立ち上げる。

〝レッド〟のメッセージが3件、〝グリーン〟が5件、〝イエロー〟に至っては、17件溜まっていた。

聖は、緊急の〝レッド〟から目を通す。

 暫くして、〝聖の物〟であったコーヒーを片手に永田が近寄る。

「ロマンティノ共和国の朝霞の件は、知っているな?それと類似した暗号だ!ロマンティノ共和国の大使館からの情報提供だ。確かに敵対しているとは言え、目下の両国の火種は、〝POSW〟だ!罠とは思えない情報と思うがどう思う?」と話す。

聖は、「待ってくれ、今フィルターにかけている。

‥確かに〝F〟に対する司令とも、取れるな?

習志野か?横須賀か?狙いまでは、解らないか?

また、〝M〟がでてくるな?やっぱり〝M〟が司令官で間違いないだろう?」とタバコに手を伸ばす。

永田は、「タバコなら喫煙室へ!リーダー?‥

確かに〝M〟が司令官の線は間違いないだろう?

ところで、時折り混ざる〝G.B.D〟のアルファベッドは何と解析する?」と永田は、聖から取り上げたショートホープを手のひらで転がす。

「確かに、敵とは言え、朝霞駐屯地が全焼したのは、問題だった‥疑われたのがアンダルカンだからな‥〝F〟か‥どうやってそんな爆薬を手にいれられたのか?〝G.B.D〟か?俺なら〝get back the destruction〟だな、破壊を取り返せ!ってとこか?」と聖は、永田からショートホープを取り返した。

永田は、「そんな、プロパガンダを暗号にするかね?俺には深い意味があると思うがね?まあ、それが仕事だから、簡単に解るなら、俺たちも用済みだな」そう言って自分のデスクに戻って行った。


 聖は、その後PCと格闘し、12月29日が、Xデーであろう?とまで分析し、帰宅した。


 東京 虎ノ門 自宅マンション


 夜10時に、自宅に着いた聖は、妻 彩夏が不在なのに気づく、VOXにいる間は、施設外とは、連絡手段がない為、何があったのか気にはなったが、とりあえず着替えた。

 寝室で、スーツを脱ぎ、部屋着に着替えた。

朝、首の裏から、出て来た〝ルビーの様な物〟をティッシュペーパーに包んで、彩夏の化粧台の角に置いておいたのが、無かったのが、何故か琴線に触れた。

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ヘブン・ブリッジ 霞 芯 @shinichi-23

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