第9話「今日、空いてるよね?」
相変わらず福本は頓珍漢なことを言ってくるが、今回のは流石に度が過ぎている。しかし、このお姉さんに歯向かっても無駄である。とりあえず同意した振りをして、長期的な撤退戦を戦い、最終的には現状地点まで領土を回復する。これが狡猾な大人の立ち振る舞いというものであろう。
とりあえず今日の所は部活もあるし、これからは冬の大会に向かって忙しくなる一方だ。年末年始の冬休みを挟んで冬の大会、春休みが来て学年が代わればクラスも変わる。自然消滅は間違いない。荻野も福本を説き伏せるのが面倒なだけで、私のサボタージュに参画するに違いない。
とりあえず、この話は3人の中だけにすることを約束させた。荻野は黙って頷き、福本は自信が無さそうだが納得した。実際、このお姉ちゃんの演技力が一番頼りない…
そこから数日は、いつもとほとんど変わらない時間が流れた。荻野が若干ギコちないのと、福本がやたらニコニコ、というかニヤイヤしているぐらいだ。こんな感じだから、雨で部活が休みになったと聞いても、何の警戒もせずぼーっとしていた訳だ。
冷静に考えたら、放課後に連中に拉致監禁されるリスクを考慮すべきだった…
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