第6話「良かったら付き合わない?」
荻野と最後までしてしまったのは、まだ分かる。しかし、なんで福本としなければいけないのだろう? しかし、そんな理屈はこのお姉さんには通用しない。いつもニコニコしているのだが、偶に訳の分からないことを言い出し、それを曲げない頑固な側面もあった。
どうしたものかと考えている間に、彼女は服を脱いで体を寄せてきた。肩を掴んで押しとどめたのだが、キスをされて押し倒されていた。「男女逆なら大問題…というか性別関係なく大ごとやろ」とか考えている間にまさぐられ、哀しい事に体は反応していた…
されるがままになっていた荻野とは全然違い、福本は慣れたものだった。彼氏がいたことがあると聞いたことがあるが、経験があったのだろうか? それだったら、猶更俺が彼女を抱く、というか彼女に抱かれているのは意味が分からない?
こんなことを考えておきながら、やることはしっかりやっているのが男の哀しいところだ…
事が終わった後に疲れと混乱で頭がマヒしていたが、ずっと何かを忘れている感覚に捕らわれていた…バックに入れている水を取ろうと思って手を伸ばしたのだが、それが異常に重い事に気がついた…そうだ、今日は県立図書館にいって本を返却して新しいのを借りなければいけなかったんだ!
県立図書館は街の反対側にあって遠い上に、閉館が地味に早い…貸出限度冊数10冊をちゃんと選ばないといけないことを考えたら、時間はギリギリだ。挨拶もそこそこに何とか風体を整えて荻野の家を飛び出ていた…
この日は金曜だったので、週末に連中と会うこともなく、部活の練習と読書と勉強とエレクトーンの練習と、撮り溜めていた何やかんかの録画を見ていたらあっという間に週末は終わっていた。しかし、月曜になって学校に行けば現実に引き戻されざるをえない…平気な顔をして連中に挨拶をしたつもりだが、その時自分がどんな表情をしていたかは定かではない…
給食の後の昼休みに連中と話すことが多いのだが、その日は教室の外に呼び出された。何の因果か、それは事件のきっかけとなった我々が毎日掃除をしている雑木林である。気にしない振りをしていたが、昨日の夜からずっと今日の事をシミュレーションしていた…
とんでもないことをしてしまった…
しかし同意だよな? というか、福本に関してはむしろ向こうから迫ってきたよな?
でも、何か責任取れとか言われるのだろうか…
どんな理屈を言っても男の方が不利だろうな…
優等生のフリはしているが、流石に女二人に手を出したとあっては一大事だろうな…
親とか呼び出されるんだろうか…
土下座とかしたら許してくれるのだろうか?
いや、こういうことをしても逆効果な気がする…
むしろ、「どうだ良かったか?」とか機先を制すればなんとか…なる訳ないやろ…
どう考えても幸せな未来は見えてこない。いくら重い足取りでも、その内現地に到着してしまった。待ち構えている二人に声をかけ、なんと言い訳をしようと頭の中で往生際の悪さを発揮していたのだが、告げられたのは全く予想外の話だった…
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