第3話「最後までシてよ」
感情を交えずに事実だけを述べたい。
その日、私は友人の荻野にからかわれて、なぜか本気で言い返してしまった。こんなことは日常茶飯事だったのだが…売り言葉に買い言葉で、相手の挑発に乗ってしまい、なぜか荻野とセックスすることになっていた。
もちろん、これは所謂チキン・レースというやつだ。どこかでどっちかがビビってゲームを下りる。だが、その日は何故か、自分は普段負け続けているはずのゲームに負ける気が起こらなかった。どこかで荻野が下りるだろうと思い込んでいた。
荻野の家に向かう途中、脅しでコンビニでコンドームを買うと伝えたのだが、荻野は自宅にあると言う。そういえば、お兄ちゃんかお姉ちゃんががヤンチャな高校生で、そういうモノが溢れているとか言っていた。
荻野の家に行くのは初めてだった。友人とは言っても学校で話すだけで、自分は部活も忙しいから放課後に遊ぶことなんかは無かった。荻野の家はマンション、というよりもアパートという感じ。お母さんも働いていて、夜まで家族は帰ってこないとのこと。
家にあげてもらったが、当然気まずい空気が流れる。向こうが何も言ってこないので、こちらから火ぶたを切った。
「それで何から始める?」
「経験があるんでしょ。お任せで」
マジか…断りやがらねぇ…流石にキスをするのは可哀想だから、軽く体に触れたが、平気そうな顔をしていながら体はガチガチだった。元々前技は丁寧にやる方なのだが、ギブアップして欲しいから猶更ゆっくりになる。こちらから中断を言い出すと負けたような感じになるので、なんとなく目を合わせて伺ってみるが、諦めてくれない…
「えっと…胸、触るけど…」
とうとう、こちらから口を開いてしまったが、黙って頷くだけ…しかも、この辺りからは本当に感じてきたのか、少しずつ喘ぎ声まで漏らし始めた。そうこうしているうちに自分もテンションがおかしくなってしまい、一通りのことはやってしまっていた。
流石にパンツの中に手を入れた時には少し抵抗があったが、「やっぱり止めとく?」と尋ねると、黙って首を振るだけだった。
そうこうしている内に荻野がイッてしまい、少し間が空いた。流石に俺もここで畳み込むほど鬼畜じゃない。少し冷静になって考えると、これだけやったのだから言い合いの原因になった自分に性経験があることは十分に証明できたはずだ。それを荻野に伝えたのだが、断られてしまった…
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